少数の勝者と多数の敗者が生まれる理由
株式市場では、多数の敗者と少数の勝者が生まれると、言われています。売買が成立するということは、買った株数と売った株数は同じです。その後株価が上がるか下がるかはわかりませんが、売買の半数は正しくて、半数は間違っていたことになります。それなのになぜ、勝者は半数もいないのでしょうか?その理由としては、多数派と同じ事をしていたら儲けられないからだ、などと説明されることがありますが、今日は数字で検証してみましょう。次のような仮説をたてて、考えてみました。以下のような、単純なモデル化をします。・株価は、100円と1000円を、繰り返す。・売買は、100円と1000円でしか発生しない。・1回の買い付けは、必ず10万円ずつ行う。100円で買って、1000円で売却する人が勝者となり、その逆が敗者になります。それでは、実際の売買結果を見てみましょう。まず最初に、勝者となるべきAさんが、100円で1000株(100x1,000=10万円)購入しました。そして、1000円になった時点で、売却しました。売却金額は、1,000円x1,000株=100万円 となります。この時に買った人は、どうなるでしょうか?1回の買い付けは10万円ずつ(1,000円x100株)ですので、買った人は10人いることになります。すなわち、高値で売った勝者Aさん一人に対して、高値で買った敗者10人が生まれています。次に株価が100円に下がりました。ここで、再び勝者Aさんが、買い出動します。敗者達の持ち株は、一人100株ずつですので、金額としては1万円の価値しかありません。したがって、勝者Aさんが10万円分買った裏では、敗者10人が売っていることになります。このように、売買される株数は当然同じですが、買い方と売り方の人数は、等しくありません。このモデルでは極端な例を出していますが、勝者が少数しかいないのには、このようなメカニズムが働いているのではないかと、推測します。売買の判断を、他人に頼ってはいけません。相談した相手は、多数派である敗者の可能性のほうが、高いです。