デジタルの安心感
昨日見たテレビ東京系の番組「ソロモンの宮殿」で写真家の蜷川実花さんが出演されていました。極彩色を多用した独特な色使いが女性に大人気だそうで、花魁の世界を描いた「さくらん」で監督デビューしたこともあり、最近特に注目を集めています。番組の中で印象深いセリフがありました。それは、撮影でデジタルカメラを使う写真家が増えている中で、あくまでフィルムでの撮影にこだわっているそうで、その理由が「フィルムだと一枚一枚にコストがかかるのでおのずと撮り方も真剣になる。しかしデジカメだと何枚撮ってもコストフリーで、しかも編集で何とか出来るという安心感をもってしまう」というものでした。これってデジタルのデメリットを端的に表現している言葉だと思います。消したり増やしたりの編集作業が簡単に出来て便利この上ありませんが、その反面いつでも直せるという安心感が緊張感や真剣さを奪ってしまいます。ここ10年ほどの映画はCG多用の映画ばかりになりましたが、いかにリアルに迫力ある映像を作っていてもどっぷりと映画の世界に入りこめない(私だけかもしれませんが)のはこの辺の理由があるのかもしれませんね。