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2009年08月21日
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前回は、投資信託への投資の入門編として投資信託の意義とファンドの選び方について説明した。今回は、複数の投資信託を組み合わせることを中心に、アセット・アロケーション(資産配分)の観点から、もう一歩進んだ投資信託の使い方をご説明しよう。前回が「入門編」なら、今回は「脱入門編」というくらいの位置づけだが、投資として実際に行うことは特段難しいわけではないので、安心して読んで、考えてみて欲しい。


複数の投信を組み合わせる意味


前回の最後に、国内株式と外国株式をたとえば「4:6」で組み合わせることを考えてみて欲しいと書いた。それでは、このような組み合わせで投資すると、どのようなメリットがあるのかを具体的にご説明しよう。

(表1)国内株式40%と外国株式60%
国内株式40%と外国株式60%(表1)

表1は、国内株式40%と外国株式60%の組み合わせについてリスクを試算してみたものだ。リスク計算のもとになっているのはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2008年検証のデータで、1973年から2007年までの35年分のリターンデータがもとになっている。ベンチマークは国内株式がTOPIX(東証株価指数)で外国株式がMSCI-KOKUSAI(注:日本を除く先進22カ国の株式で構成される株価指数。日本の年金運用の代表的ベンチマーク)なので、同様のポートフォリオは、インデックス・ファンドかETFを使って簡単に持つことができる。

GPIFのデータによると、国内株式のリスクは22.15%(1標準偏差、年率%)で、外国株式は19.59%だ。二つのベンチマークのリターンの相関係数はプラスの0.27だ。

国内株式と外国株式を4:6で組み合わせると、そのポートフォリオのリスクの値は16.52%と計算された。国内株式、外国株式いずれかを単独で持つよりも、かなりリスクが低下していることが分かる。

リスクの低下といっても有難味を感じないかも知れないが、仮に期待リターンを6%と考えた場合、国内株式に投資していてマイナス2標準偏差のイベントが起こった場合のリターンは6%-(2×22.15%)=-38.3%ということになる。この場合、最大損失額を100万円にとどめようとすると、投資額は約261万円が上限になる。

これが、4:6の組み合わせポートフォリオだと、6%-(2×16.52%)=-27.04%なので、最大損失額100万円に対する投資金額は約370万円の投資が可能になる。両社の差は、109万円あるから、年間の期待リターンの差は6万円以上あることになる。

損する話を考えたかと思うと、一転して捕らぬタヌキの皮算用的な期待リターンの計算が続いてめまぐるしいかも知れないが、要は、資産の組み合わせでリスクを押さえられるということは、それだけ大きなリターンを狙う投資ができるということなのだ。

国内株式単独、あるいは外国株式だけに投資をするよりも、組み合わせで投資することを検討して欲しいと強く思うのは、効率の違いがあることに加えて、狙えるリターン自体が大きくなるからだ。

なお、日本株式と外国株式を5:5で組み合わせると、リスクは16.65%と計算された。4:6とそれほど大きくちがわない。国内・海外が3:7ならどうかというと16.78%であり、これも「大差ない」といって差し支えない変化だろう。

資産運用について能書きを語る身からすると「リバランスが大切です」「こまめにメンテナンスしましょう」と言いたいところだが、ホンネを言うと、放っておいてもそう大きな影響はない

ここで、中級以上の方向けの注釈を一言。

国際分散投資に詳しい方の中で、「どうして日本株が40%もあるのか」と思われる方がいらっしゃるかも知れない。これは、ライアビリティ(負債)を円で考えて、ヘッジなしとしたことの影響だ(GPIFも基本的に同様に考えている)。通貨のポジションを自由に取る前提であればたぶん日本株への比率はもっと小さくなるはずだが、カレンシー・オーバーレイ的な運用を個人が行うことは現実的ではないので、ヘッジなしの前提で考えた。将来使うお金が円建てなら、おおむねこうしたポートフォリオで問題ない。機関投資家も含めて投資家が母国の株式を多めに持つ傾向のことを「ホーム・バイアス」と呼ぶが、これを反映したものではない。通常の投資家の場合、何らかの通貨に偏った(多くは単一の通貨建ての)ライアビリティーを持つので、たとえば、世界の株式の時価総額比に合わせたポートフォリオをヘッジなしで持つ状態が「理論的に標準」である訳ではない。


(パターン1)国内株+外国株+外債


弊社のお客様のデータによると、投信を3本以上お持ちの方で一番多い組み合わせは、国内株式+外国株式+外国債券の組み合わせだという。

外国債券を組み合わせるとどうなるのだろうか。

国内株と外国株の場合は、どちらの期待リターンが大きいか判然としないので、リスクを小さくする計算だけをすれば良かったが、債券が入ると、期待リターンは同じという訳に行かなくなるし、リスクと期待リターンに対してどういったバランスで価値判断を行うかを、たとえば「リスク拒否度」といった数値を設定して計算に反映させる必要がある。

まず、株式の期待リターンを6%、債券の期待リターンを1%とする。株式のリスク・プレミアム(無リスク資産に対する超過リターン)がどれくらいの大きさかについては諸説あるが、5%から6%位の数字を挙げる学者・実務家が多い。個人の場合、金融商品の手数料もあるので控え目に5%を取ることにした。

外債の期待リターンに関しては、もっと高いのではないかと思われる向きもあるだろうが、金利と為替レートは市場で同時に取引されており、どの国の通貨で運用するのが高リターンだということが言える訳ではない。名目上高金利の通貨の預金や債券は期待リターンが高いのだと考えることは誤りだ。基本的には、どの通貨(と金利)で運用しても同じはずだというのが出発点だ。

(表2)リスク拒否度0.015のケース
リスク拒否度0.015のケース(表2)

上記の前提条件で、リスクとリターンのバランスを表すリスク拒否度の数値を何通りか変えて計算してみた。表2の計算例は、標準的な企業年金よりも積極的な設定値で計算してみたものだが、国内債券はポートフォリオの中に入ってくるが、外国債券はなかなか入ってこない。これは、リスク拒否度の設定を大きく変化させてもこのままであり、13.25%というGPIFベースのリスクの推定値に対して、1%の期待リターンでは、外債に魅力がないということだ。

現実に外債ファンドをお持ちの方もいらっしゃるので少々言いにくいのだが、外債ファンドの期待リターン1%という数字は、実は、これでも過大評価の可能性がある。外債と国内債の円ベースでの期待リターンが等しいとすると、手数料差し引き前の外債の期待リターンはせいぜい1.5%くらいだろう。ところが、これに対して、外債ファンドは信託報酬率が1%を超えるものが多く、計算上1%の期待リターンが残るとは考えにくい。もちろん、分配金の利回りだけで期待リターンを考えるのは正しくない。

数字を想定して計算する限り、外債ファンドを組み合わせの中に加えることの積極的なメリットは見いだしがたい。外債ファンドに投資しようかと思われた方は、外債ファンドを買うと負担することになる為替リスクを外国株式ファンドに割り当てることを考えてはどうだろうか。





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最終更新日  2009年08月21日 17時07分13秒


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