虫1.クモの仲間1クモの仲間1 1.オオヒメグモ2.ヤマシロオニグモ3.ジョロウグモ4.ゴミグモ5.アズチグモ6.ネコハエトリ7.チャスジハエトリ8.ヒラタグモ9.シラヒゲハエトリ10.アリグモをご紹介します。 1.オオヒメグモ ![]() ![]() ![]() ![]() ヒメグモ科 全長オス4~5mm メス7~8mm 北海道から九州の人家内外に分布 観察期間は通年 えさ 虫 繁殖 5~9月(気温20℃前後の頃)。7~8mmの茶色い水滴型の卵のうを巣につるす。 ![]() ![]() ![]() ![]() 鳴き声 なし 巣 地面から上に向けて網状の巣を作る。粘液は地面との接合部のみについており、 徘徊性の生き物が糸に引っかかると、ぷつんと切れた糸の張力によって地上へ吊り上げられて しまうようになっている。クモは巣で仰向けになってえさが引っかかるのを待っている。 2006年5月24日、庭でクモの巣にクモが2匹いるのを見つけました。よく見ると、 動いているのは小さいほうだけで、大きいほうを食べているようです。カメラを近づけたら、 クモの糸をひっかけてしまい、驚いた小さいほうのクモだけが3cmほど逃げました。 これで大きいほうは完全に死んでいることがわかりました。それにしても、なぜクモが クモの巣にひっかかってしまったのか、気になって調べてみました。小さいほうは オオヒメグモでしたが、大きいほうのクモはよくわかりませんでした。オオヒメグモの 巣の仕組みは上に書いたとおりです。クモの巣にもいろいろあることがわかって 勉強になりました。 ![]() 2011年7月15日、オオヒメグモの巣を2つ見つけました。上下に並んでおり、それぞれの巣に1つずつ 卵のうがあります。 ![]() しばらくすると台風が来てしまいました。7月20日、すっきりとした青空とはいきませんが、とりあえず 台風は去ったので、見に行ってみました。思った通り、上側の卵のうの下には体長1mmにも満たない 小さな子グモたちがぶら下がっていました。巣は少し上に移動したようです。 ![]() 下側の巣はずり落ちて葉にひっかかってなんとか止まっていました。同じように孵化した子グモたちが ぶら下がっていますが、母親の姿はありません。台風で力尽きてしまったのでしょうか。その後、 子グモたちはしばらくそこにいましたが、23日にはみんないなくなっていました。1匹になってしまった 母親は、26日には息を吹きかけてもピクリともしませんでしたが、29日には最初の卵のうの下に新しいのを ぶら下げていました。次々に産み足すようです。この後、母親は行方不明になっていましたが、8月8日には 子グモが孵化し、彼女も戻って来ていました。8 月16日には3つめの卵のうができており、体長5mmのオスが 同居していました。24日には子グモたちは孵化していなくなっていましたが、オスはまだいました。 数日後にはオスもいなくなり、しばらくメス1匹だけでした。9月29日には4つめの卵のうがありました。 2013年8月6日、家の裏の通路にいるオオヒメグモの卵のうから子グモが孵化していました。もう新しい 卵のうがあります。 ![]() ![]() ![]() 翌日、子グモは数匹になり、母グモはもう少し卵のうから離れていました。子グモたちには これから頑張って次につなげてほしいと思います。 2.ヤマシロオニグモ ![]() コガネグモ科 全長オス8~10mm メス12~15mm 北海道から南西諸島の人家内外に分布 観察期間は通年 えさ 虫 繁殖 8~11月。卵のうを黄色っぽい糸で覆って壁などにつける。孵化は翌年2月頃。 鳴き声 なし 巣 夕方、網状の巣を作り、翌朝回収して食べる。回収時間には個体差や地域差があり、 特に東北では、巣を回収しない個体が多い。オニグモの仲間の糸はクモ類のなかでも丈夫で、 自然界最強の糸といわれる。 2006年7月28日、ベランダに出ようとしてクモの巣に引っかかってしまいました。 糸は思いのほかかたく、伸縮性があったので、家に持ち帰ってどこまで伸びるか 実験してみました。 長さ16.5cmのクモの糸の先端を本棚の壁に貼り付けて固定し、もう一方の端をつまんで 引っ張ってみます。切れたときの長さを測ると、35.6cmでした。倍以上に伸びています。 ナイロンはどうだろうと思い、伝線しているストッキングを探してきて、 糸を1本だけ取り出そうとしましたが、引っ張るとすぐにちぎれました。 やっと取り出せたと思ったら、3本束ねてよってあり、1本だけ引っ張って取ると ひどく縮れてしまいました。引っ張ると、どんどん伸びますが、手を放してもあまり 縮まないので、元の長さがどんどん長くなり、正確な記録がとれなくなると思い、 やめました。 翌朝、彼女は前より高いところに巣を張っていましたが、よそ見をしたときに また引っかかって糸が切れてしまいました。そのうち巣を片付けるのかと思いきや、 半分壊れたままほったらかしです。16時頃には、風でよれて太くなった糸がなびいて いました。ここが糸を片付けない地域なのか、単に彼女が横着者なのかはよくわかりません。 さらに次の日、彼女の姿は見えませんでした。どうせ引っ越すからいいやと片付けなかった ようです。巣を2度も壊してごめんね。 3.ジョロウグモ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() アシナガグモ科 全長オス6~8mm メス20~27mm 東北から南西諸島の人家周辺などに分布 観察期間は5月~11月 えさ 虫 繁殖 9~11月。オスは、8月頃に成体となり、メスの幼体の巣に居候する。 メスが成体となると、食事中などをねらってメスに近づき、接合する。メスは 10~11月頃に産卵し、樹皮などに卵のうを糸で綴じ付ける。 鳴き声 なし 巣 下にいくほど広がった大きな網の前後に補助の網を作る。横糸は黄色なので、 日に当たると光って見える。 2006年9月20日、庭でクモの巣にクモが上下に重なるように2匹いるのを見つけました。 よく見ると、上のクモは半透明で、下のクモは逆さまになり、 足の先をすべてくっつけたまま、どんどん下がっていきます。 あっ、脱皮だ!慌ててカメラを引っ張り出し、脱皮終了寸前を撮影することができました。 ![]() クモは、糸1本で垂れ下がり、しばらく抜け殻と一緒に風になびいていました。 ![]() すぐには動けないようです。体のアップなどの写真を何枚か撮り、様子を見ていると、 クモは抜け殻のところへ行きました。食べるのかと思いきや、 ぽいっと放り投げて捨ててしまいました。幸い、抜け殻はすぐに見つかったので、 家に持ち帰って写真を撮ってみました。 ![]() 真っ白かと思ったら、目のあたりだけ赤くなっています。 ネットで名前を調べると、ジョロウグモの幼体であるとわかりました。 大きさは、1cm少々だったので、メスではないかと思います。この時期には、 オスはもう成体となり、メスの巣に居候しているらしいので、翌日、 彼女の巣をのぞいてみました。残念ながら、オスは見当たりませんでした。 そのうち、いい相手が見つかるでしょう。間違えて食べないようにね。 2006年10月6日、ジョロウグモの巣にクモが2匹いるのを見つけました。9月に脱皮していた メスのものとは違う巣です。この日は風が非常に強く、巣の揺れが激しかったので、 種の確認ができませんでした。 10月10日、同じ巣を再び見ると、やはり2匹いました。1匹はこの巣の持ち主で、 メスのジョロウグモ、もう1匹は、体長が1cmほどしかありません。ジョロウグモのオス のようです。やっと、相手が見つかってほっとしました。この2匹は、地面に垂直になるように 張られた3つの網のうちの2つにそれぞれ陣取って、互いに向き合っています。2匹の距離は 3cmほどです。こんなに近くでは、オスがメスに食べられてしまうのではないかと 心配になりました。ジョロウグモのオスは、成体になると、メスの巣に居候して 交接の機会をうかがうのですが、メスに見つかったら食べられてしまうこともあるのです。 気になったので、とりあえず記録用に写真を撮っておこうと思いましたが、数m先の民家が 写ってしまいます。仕方なくあきらめて花の手入れなどをした後、もう一度のぞいて みました。 2匹は相変わらず向き合ったままです。気になって仕方がないので、民家が写らない角度を 探しながらうろうろしていると、急にオスがメスのほうに向かって動き始めました。 もしかして、交接?彼はメスのいる網の上部に移動して、彼女に向かってするすると下りて 行きます。ずいぶん大胆ですが、大丈夫でしょうか。普通、メスに見つかると食べられて しまうので、メスの食事中などのすきをねらって交接するのですが。しかし、彼女も その気のようで、仰向けになりました。すごい、交接だ!ええい、民家なんか どうだっていいわい。彼と彼女の足が触れ合った瞬間をパチリ。 ![]() 2匹は彼が上、彼女が下で重なりました。 ![]() ![]() 数秒後、急に彼女が彼に突っかかっていき、彼は逃げ出しました。彼は5~6cm逃げて 立ち止まり、何を思ったのか、また彼女に近づいていきます。 やめなって、食べられちゃうよ。3cmほどまで近寄ったとき、彼女が彼に突進して きました。彼は必死で巣の端まで逃げました。なぜまた近づこうとするのでしょうか。 交接がうまくいかなかったのでしょうか。 結局、彼は彼女がいる網の隣の網に移動しました。すると、彼女は許してくれたのか、 動かなくなりました。食べる気はなさそうですが、油断禁物です。 それから、彼の無事を確認するのが日課になりました。彼はしばらく居候した後、 行方不明になりましたが、1週間ほどして帰ってきました。しかし、彼女は 居候が気に入らないらしく、彼に突進して巣から突き落とそうとしました。彼は糸1本で ぶら下がり、事なきを得ましたが、それから再び行方不明になっています。 食べられてしまったのではないかと心配です。 その後、彼女のお腹が大きくなったので、10月28日に写真を撮りました。巣から 移動しようとしていたようで、私の姿を見るとビクッとしたり、巣を揺すって 威嚇したりしていたので、もう産卵するのかと思いましたが、11月1日現在、 お腹は大きいままです。 ![]() ![]() その後、庭にいたメスたちが一斉に巣からいなくなってしまいました。 2007年9月18日、庭でジョロウグモのオスとメスが向かい合っているのを見つけました。 ![]() ![]() 交接がまだ始まりそうにないので、花の手入れをしながら様子を見ることにしました。 ふと見ると、2匹ともいません。慌てて巣をのぞきこむと、下のほうにひっくり返って ぐったりしたオスがいて、メスは巣の上のほうにいました。 とりあえず、殺されてしまった哀れなオスを写真に撮ろうとしたとき、足が急にもぞもぞと 動き出したかと思うと、一目散に近くの葉の裏に逃げ込みました。無事だったようです。 ![]() メスは巣にひっかかった獲物のところへ行き、足で少し触っていました。食事の邪魔をされて 怒ったのでしょうか。彼女はまたするすると下りていきます。 ![]() ここで私はやっと重大なことに気がつきました。彼女はまだ幼体だったのです。だからオスを 拒絶したのかもしれません。彼女は、巣の真ん中の自分たちがさっきまでいたところまで来ると、 糸を前のほうの足で押しながら巣の上へと戻り始めました。白い糸が絡めとられて きれいになっていきます。ああ、汚らわしいと言いながら掃除をして、男が部屋に 入ってきた痕跡を消そうとしているようにも見えて、思わず笑ってしまいました。 掃除も終わり、彼女が再び巣の中央に戻ると、オスはまた彼女のほうへ寄っていきました。 ![]() 2匹はお互いに前のほうの足を広げて威嚇のポーズをとり、このまま動かなくなって しまったので、とりあえずこの日の観察は終了しました。 ![]() 翌日、巣には2匹ともいませんでした。そのかわり、少し離れた場所におとなしく向かい合う カップルが2組いました。どちらかが前日のカップルかもしれません。 現在、メスの幼体とオスのカップルが2組、独り者のメスの幼体が2匹、独り者のオスが 3匹います。オスのほうが数が多いので、あぶれては大変と焦っているのかもしれません。 2007年9月28日、庭に出るとジョロウグモが交接中でした。巣に抜け殻が引っかかっているので、 メスが脱皮して成体になった直後かもしれないと思いましたが、まだ幼体でした。 ![]() ![]() オスはときどきメスの体から離れたりしていますが、メスは全く動きません。よく見ると、 オスがメスのお腹をかんでいるようにも見えます。メスの生殖器は腹部の真ん中あたり、 オスの生殖器は口のあたりにあるので、オスがメスのお腹をかんでいるように見える そうです。 ![]() ![]() ![]() 交接はなかなか終わらず、気がつくともう1時間ちかく経っていました。さらに1時間 経ってもまだこの体勢のままだったので、息を吹きかけてみました。しばらくやっていると、 急に彼女は足をばたつかせてオスに蹴りを入れたので、彼は巣の端へと逃げていきました。 彼女が生きていたということは、やはりまだ交接中だったのでしょう。時間がかかって いたのは、メスがまだ幼体でうまくいかなかったためではないでしょうか。 30分後、カップルは何事もなかったかのように向かい合っていました。しかし、 オスがメスに近寄ろうとすると、彼女はまた彼をキックして拒んでいました。 10月2日には、オスはいなくなっていました。1時間後にはメスもいなくなり、2匹の行方は わかりません。 10月5日に別のカップルが交接しているのを見ましたが、やはりメスは幼体でした。 今年の夏は暑かったので、メスの成長が遅れて繁殖期が短くなり、焦っているのかもしれません。 11月にはメスはすべて成体になりました。2007年12月18日にはまだ産卵していないと思われる 1匹が元気にしていましたが、そのうちいなくなってしまいました。 2010年10月14日、小さな虫がジョロウグモの巣に引っ掛かってしまいました。巣の主であるメスの 成体は腹部の先端から糸を出し、獲物をくるくると回しながら巻きつけていきます。 ![]() ![]() 作業が完了すると獲物をいったん網に引っ掛け、自分の頭が地面を向くように逆さまになりました。 食べ始めたとき、この巣に居候しているオスの成体が近寄ってきました。食事中に交接してしまおうと いうのでしょう。カメラを出してのぞいていると、ファインダーの左側からもう1匹、オスが見えて きました。 ![]() よく見ると、隣にあった巣にいたはずのやけに小さいオスの成体がいません。元からこの巣にいたオスが なかなか交接しないとみるや、隣のオスはさっさと交接を始めてしまいました。 ![]() 元からいたオスは大慌てで駆け寄り、飛びかかって彼を追い払いましたが、なかなかメスに近づきません。 脚の先でそっと触っては慌てて引っ込めます。 ![]() 彼がグズグズしているのを見て、巣の隅っこでうろうろしていた隣のオスが再びやってきました。 ![]() もちろん、彼はすぐさま隣のオスを巣の隅に追いやり、邪魔をしに来ないことを確認すると巣の上の方に 行き、腹部の先端からかなり太い糸を出しながら下りてきました。 ![]() やっとメスの腹部にしがみつき、交接開始です。 ![]() ところが、メスはすぐに彼を押しのけてしまいました。2度も拒まれたので、彼はあきらめて彼女の すぐ側に陣取りました。隣のオスはまだ巣の隅っこでうろうろしています。1時間後、彼はメスと 向かい合っており、隣のオスはまだ巣の隅っこにいました。10月18日、久しぶりに巣をのぞくとメスしか いませんでした。隣の巣はもう少し離れたところに移動しており、まだ幼体のメスと向かい合って あの小さなオスが1匹いました。戻ってきたのでしょう。10月22日には、元からいたオスと思われる 1匹が巣に戻ってきていました。交接がすんだので別の相手を探しに行ったものの、居候するのに ちょうどいい巣が見つからなかったのかもしれません。成体になると巣が作れなくなるオスは、 居候しておこぼれをもらえなければ死んでしまうでしょう。交接の前にまずはえさを確保しなければ なりません。生きて行くのは大変なのです。この年は昼ドラのようなドロドロの恋愛劇があっちこっちで ありました。オスが2匹にメス1匹の三角関係は複数の巣で見られるし、オスの数は頻繁に変わります。 複数のメスの巣を移動して交接の相手をなるべく増やそうとしているのかもしれません。11月29日には、 この三角関係の巣に再びオスが入ってきていました。同じ個体かどうかはわかりません。メスのお腹は 卵でパンパンにふくらんでいるので、もう交接をするのは無理だとわかっているはずです。居候して おこぼれをもらうつもりだったのでしょうか。この時季にオスが一緒にいるのを見たのは初めてです。 ![]() 翌日、オスはいなくなってしまいました。メスは12月6日にいなくなりました。産卵したものと 思われます。 4.ゴミグモ ![]() ![]() コガネグモ科 全長オス7~8mm メス10~14mm 本州から九州に分布 観察期間は4~11月 えさ 虫 繁殖 卵のうを巣の中央部につるし、ゴミをつけて隠す。 ![]() ![]() 鳴き声 なし 巣 比較的低い位置に、地面にほぼ垂直になるように円網状の巣を作る。食べかすや 自分の脱皮殻などのゴミを巣の中央部に縦に引っ掛け、その中央に頭を下にして陣取る。 これはカモフラージュのためといわれている。 ![]() 2008年5月20日、ゴミグモが巣のゴミの塊から少し離れたところにいました。珍しいことも あるものだと思い、のぞいてみると、赤い2mmほどのクモを捕まえて食べているようです。 おそらく、この巣に居候していたアカイソウロウグモを見つけたのでしょう。 すぐ側にいても全く動じず、食事に夢中のようでした。小さなクモをあっという間に 食べ終わったゴミグモは、まだ口を動かしています。普通は近づくとすぐに足で顔を覆って しまうらしいのですが、なんとか顔が見えました。しかし、翌日からゴミグモは葉の陰に 隠れるように反対方向を向いてしまいました。獲物がかかりやすい方向とは逆なので 不便だと思うのですが、私に覗き見されるよりはマシだと考えたのでしょう。ゴミの塊を 見ながらとりあえず謝っておきました。それからしばらくして、ゴミグモは再びこちらを向き、 私がのぞいても向きを変えませんでした。何もしないとわかって安心したのでしょう。 2008年6月25日、このゴミグモの巣に黄土色の楕円形の卵のうがあることに気付きました。 大きさは縦15mm、横7mmほどです。彼女は卵のうの上に陣取っていました。 ![]() 6月30日、卵のうは2つになっていました。彼女は上の卵のうを足で抱えるようにしています。 ![]() 数日後、彼女は珍しく、巣の反対側の面にいました。最近、私が巣をのぞきこんでいるので、 嫌がっているのでしょうか。なんとなく、彼女が弱っているようなのが気になりました。 翌日から彼女はまたこちらを向いていましたが、やはり弱って体がひからびかけて いるようで、死んでいるのではないかと心配になりました。7月8日、2日ぶりに巣を 見に行くと、卵のうはさらに1つ増えて3つになっていました。 ![]() しかし、彼女の姿はありません。以来、彼女の姿は全く見られなくなってしまったのです。 6月にゴミグモが産卵し、孵化した記録があるようなので、メスは産卵すると死んでしまい、 世代交代が行われるのかもしれません。彼女はひからびかけた体で必死に3回めの産卵をして 力尽きてしまったのでしょうか。彼女が遺していった小さな卵のうから無事に子グモが かえるよう、見守ってやろうと思っていましたが、もう子グモは孵化した後だったようで、 数日後には卵のうがしぼみ、支えていた糸もぼろぼろになってしまいました。 5.アズチグモ ![]() ![]() ![]() カニグモ科 全長オス2~3mm メス6~8mm 本州から沖縄に分布 観察期間は6~9月 えさ 虫 繁殖 7~9月の1~2回。葉などに産卵し、メスが守る。約1ヶ月後に孵化し、幼体で越冬する。 鳴き声 なし 巣 なし 2008年8月20日、ベニカナメ「レッドロビン」の葉の裏にしがみついているのを見つけました。 枝をこちらへ引き寄せて写真を撮った後、元に戻しておきました。 アズチグモの体色には性差や個体差があります。メスは透明感のある白か黄色で、 褐色の斑紋がない無紋型が普通ですが、足や腹部などに斑紋がある斑紋型もいます。 斑紋の箇所などには個体差があります。オスは赤褐色です。 また、このクモは体色変化を行うようです。周辺の花の紫外線の反射率によってゆっくりと 体色を白から黄色へと変化させ、自分の存在が他の昆虫にバレないようにしているという 研究結果があるそうです。 6.ネコハエトリ ![]() ![]() ![]() ![]() ハエトリグモ科 全長オス6~7mm メス7~8mm 本州から九州に分布 観察期間は3~11月 えさ 虫 繁殖 4~5月。糸で卵のうを包む小さな産室を作りメスが守る。幼体で越冬する。 鳴き声 なし 巣 糸を重ねて2cm程度の楕円形の繭のような巣を作り越冬する。 2010年5月13日、木戸の上でジョロウグモの幼体を食べているのを見つけました。こちらもまだ 幼体のようでした。のぞきこんでも怖がる様子はなく、たまに体の向きを変えながらずっと獲物を 抱えていました。 7.チャスジハエトリ ![]() ![]() ![]() ![]() ハエトリグモ科 全長オス9~10mm メス10~12mm 日本全土に分布 観察期間は3~11月 えさ 虫 繁殖 糸で卵のうを包む小さな産室を作りメスが守る。幼体で越冬する。 鳴き声 なし 巣 糸を重ねて2cm程度の楕円形の繭のような巣を作り越冬する。 2010年6月10日、庭に出ようとドアを開けると、玄関たたきの上でヒラタグモのメスともみあっていました。 こちらに驚いたらしく、2匹ともすぐに逃げ出しましたが、彼女は再びヒラタグモのメスに飛びかかり、 玄関マットの上で取っ組み合いになりました。すると、急に側を歩いていたアリが飛びかかり、 2匹の間に割って入りました。2匹は驚いてすっ飛んで逃げましたが、ヒラタグモのほうはすぐに 死んでしまいました。アリは獲物を横取りしようとヒラタグモのメスの足をくわえて引っ張っています。 彼女は何度か獲物を取り返そうとしましたが、そのたびにアリにやられて退散しました。しかし、 粘る彼女に1匹ではかなわないと思ったのか、アリはその場を離れていきました。仲間を呼んでくるつもり なのかもしれません。彼女はそのすきにヒラタグモのメスの死骸を引きずって玄関たたきとドアの わずかな隙間に逃げ込みました。 8.ヒラタグモ ![]() ![]() ヒラタグモ科(チリグモ科という説も) 全長オス9~10mm メス10~12mm 本州から沖縄に分布 観察期間は6~11月 えさ 虫 繁殖 春から秋に2枚重ねの網の巣の中で産卵し、メスが守る。 鳴き声 なし 巣 長さ3cm、幅2cm程度の楕円形の網を2枚作り、その間に入っている。周囲に長さ10~20cmの 受信糸という長い糸を張り、獲物が引っかかるとその振動を察知して飛び出していく。 ![]() 2010年6月10日、庭に出ようとドアを開けると、玄関たたきの上でチャスジハエトリのメスともみあっていました。 こちらに驚いたらしく、2匹ともすぐに逃げ出しましたが、再び玄関マットの上で取っ組み合いになりました。 すると、急に側を歩いていたアリが飛びかかり、2匹の間に割って入りました。2匹は驚いてすっ飛んで 逃げましたが、彼女はすぐに死んで動かなくなってしまいました。アリは彼女の足をくわえて引っ張って います。アリとチャスジハエトリのメスとの間でバトルになりましたが、アリがその場を離れたすきに チャスジハエトリのメスが彼女の死骸を引きずって玄関たたきとドアのわずかな隙間に逃げ込みました。 チャスジハエトリのメスが彼女の巣の受信糸にひっかかり、喜んで巣から飛び出していったら返り討ちに あってしまったのかもしれません。その後、軒下に彼女のものかどうかはわかりませんが、巣を 見つけました。 9.シラヒゲハエトリ ![]() ![]() ![]() ハエトリグモ科 全長オス7~9mm メス8~10mm 本州から沖縄に分布 観察期間は5~9月 えさ 虫 繁殖 年数回か。糸で卵のうを包む小さな産室を作りメスが守る。幼体で越冬し、2~3年で成体になる。 鳴き声 なし 巣 糸を重ねて2cm程度の楕円形の繭のような巣を作り越冬する。 2010年8月7日、窓に張り付いてうろちょろしていました。写真を撮っているとホオジロが 見に来てしまったのですが、食べられずにすんだものと思われます。 10.アリグモ ![]() ![]() ![]() ハエトリグモ科 全長(あご含まず)オス5~6mm メス7~8mm 本州から沖縄に分布 観察期間は6~9月 えさ 虫 繁殖 夏に糸で卵のうを包む小さな産室を作りメスが守る。 鳴き声 なし 巣 糸を重ねて繭のような巣を作り越冬する。 2011年6月28日、庭の物置の上で食事中のメスを見つけました。途中で落としたえさは、黒く丸まっており、 アリの死骸のように見えました。アリグモは頭胸部に少しくびれがあり、一番前の脚を触角のように 立てるなどしてアリに擬態しています。あごが小さいメスは特にアリに似ています。 アリを食べるためではなく、敵に襲われにくくするためと言われていますが、たまにはアリを食べることも あるのでしょうか。アリに襲われて逆襲したら運よく勝ってしまったのかもしれません。 以下もご覧下さい。 クモの仲間2 |