000000 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

風狂夜話2

風狂夜話2

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2007年12月22日
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
中原中也といえば「汚れつちまつた悲しみに…」であろう。

 汚れつちまつた悲しみに

 今日も小雪の降りかかる

 汚れつちまつた悲しみに

 今日も風さへ吹きすぎる

 汚れつちまつた悲しみは

 たとへば狐の革衣

 汚れつちまつた悲しみは

 小雪のかかつてちぢこまる

 (略)

名吟であろう。

詩集「山羊の歌」の絶品である。

これだけで中也の詩人たる由縁がわかろうというものである。

次の「在りし日の歌」は30歳という若さで結核性脳膜炎で死去する

中也の生前に自選していた詩を編んだものである。

 なんにも訪ふことのない、

 私の心は閑寂だ。

 それは日曜日の渡り廊下、

 ─みんなは野原へ行つちやつた。

 板は冷たい光沢をもち、

 小鳥は庭に啼いてゐる。

 締めの足りない水道の、

 蛇口の滴は、つと光り!

 (略)

そして「雪の賦」

 雪が降るとこのわたくしには、人生が、

 かなしくもうつくしいものに─

 憂愁にみちたものに、思へるのであつた。

 その雪は中世の、暗いお城の塀にも降り、

 大高源吾の頃にも降つた……

また「雲」

 山の上には雲が流れてゐた

 あの山の上で、お弁当を食つたこともある……

  
 女の子なぞといふものは、

 由来桜の花弁のやうに、

 欣んで散りゆくものだ

 近い過去も遠いい過去もおんなじこつた

 (略)

さいごに「夏の悲運」

 とど、俺としたことが、笑ひ出さずにやゐられない。

 思へば小学校の頃からだ。

 (略)

 俺は廊下に立たされて、何がなし、「運命だ」と思ふのだつた。

 大人となつた今日でさへ、さうした悲運はやみはせぬ。

 やがて俺は人生が、すつかり自然と遊離してゐるやうに感じだす。

 (略)

中也の詩は萩原朔太郎の精神を受けつぎ、しかももっと民謡的な親しさ

をかもし出す。

詩人という困難な生活者をぎりぎりに演じ、斃れたといえまいか。

戦争もそろそろ近づいてくる。国民総動員もすぐ目の前である。

詩人はつらい生業ではなかろうか。

「汚れちまった悲しみ」を歌うのであるから。

 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007年12月22日 14時07分28秒
コメント(0) | コメントを書く


PR

フリーページ

プロフィール

芳邑

芳邑

キーワードサーチ

▼キーワード検索

楽天カード

カレンダー

お気に入りブログ

源氏物語〔2帖帚木 … New! Photo USMさん

コメント新着

@ New!
うぼで@ Re:フランク永井の死(11/03) フランクさんの曲、再び聴きたくなりまし…
金田あわ@ Re:梟よつらくせ直せ春の雨(12/28) よいものを見せて頂きました。Thanks a l…
玄茶ー@ Re:淋しさに飯をくふなり秋の風(11/01) 感情的な文章です
http://buycialisky.com/@ Re:日経新聞社説の従米論(05/05) cialis e viagra assunti insiemecialis c…

ニューストピックス


© Rakuten Group, Inc.