ロシアの軍事力増強
10月9日付英字紙モスクワタイムスは、株・通貨のダブル安が進行しているロシアで政府の統制化にある主要テレビが国内の金融危機に関するニュースを避ける傾向が出てきたと伝えた。メドジェーエフ政権側の意向が働いていると言われる。ロシアで海外投資家の資本逃避が拡大する恐れもありそうだ。グルジア紛争と米国発の金融危機の影響でロシアの株価指標は今年5月以降7割近くも暴落した。通貨ルーブルの対ドルレートも下落、中央銀行は今月総額10億ドル近くを放出し、ルーブルを買い支えたと見られる。いずれにせよ原油高で潤っていたロシア経済がいま曲がり角に直面しているのは間違いない。グルジア紛争の介入以来、政権はソ連崩壊後の縮小一途だった勢力圏を回復するように軍事力を発動している。南オセチアのロシア軍駐留も長期化しそうである。「米国の覇権主義とロシアの大国主義が衝突する状況が生まれている。冷戦の再来ではないものの、列強が従属地域の利害で対立した第一次大戦前の状況に似ている」(在モスクワ・カーネギーセンター副所長)ロシアの経済危機に軍事的思惑が結びつけば世界大戦への道も想像できない事ではない。北朝鮮や中国の核保有が不気味に共鳴する。