「メランコリア」
ジャスティンとマイケルは姉夫婦の豪邸で披露宴を挙げていたが情緒不安定なジャスティンは周りを困らせる行動ばかりとっていた。そんな中巨大惑星メランコリアが地球に衝突しようとしていた…。巨大惑星の衝突による世界の終わりを描いたもの。「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」の様な設定だけど「ドッグヴィル」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「アンチクライスト」のラース・フォン・トリアー監督なのでハリウッドのような愉快さ、爽快さは一切ない。まずメランコリアが衝突する冒頭の映像が素晴らしい。スローモーション映像がワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」(らしい)のメロディにのって流れる様は感嘆もの。静かなものが苦手な人はこの時点で深い眠りについてしまうかもしれないけどその後眠るチャンスはいくらでもやってくるのでここだけは頑張って起きておいた方が良い。そして第1章"ジャスティン"が始まり大きなリムジンが細い角を曲がれないという場面がしばらく続く。手持ちカメラを使っているのでとにかく画面がブレる。三半規管の弱い人は間違いなく酔うので気をつけて。その後情緒不安定なジャスティンの披露宴が淡々と続く。ここは最大級の眠気に襲われるけどキルスティン・ダンスト、シャルロット・ゲンズブール、シャーロット・ランプリング、キーファー・サザーランド等の有名所の共演で何とか乗り切れるはず。第2章"クレア"ではいよいよメランコリアが地球に異常接近している。地上は邪悪だと言い世界の終わりを待つジャスティンとメランコリアは衝突せず通過するだけと願っているクレアの対比が面白い。どちらに共感できるかによっても面白さは変わってくると思う。絶望的な中にもどこか幸福感が漂うラストはさすが鬱病監督といった所だろうか。ジャスティン役のキルスティン・ダンストはヒーローもののヒロインよりこういった陰鬱な感じの役のほうが間違いなく似合う顔をしているのでピッタリだった。睡眠薬を飲んでも寝れないぜ、という位目が冴えている時に観るのをお薦めします。「メランコリア」 ★★★(★半分)