ザ・コレクターズ大頭鑑
私が愛してやまないバンド、ザ・コレクターズの本、「ザ・コレクターズ大頭鑑」が発売されました。デビュー以来のファンである私にすれば、これは嬉しい快挙です。だって、ヒット曲がほとんどないバンドが20年以上活動を続けてきて、そんなバンドの本が発売されるというのは普通考えられない事でしょう、やっぱ。コレクターズを知らない方が多いと思いますが、彼らはデビューしてもう20年を超えるバンドです。1980年代半ば過ぎに、ネオ・GSというムーブメントがありました。これは、当時ファントム・ギフトや、ヒッピー・ヒッピー・シェイクスといった、グループ・サウンズにインスパイアされたバンドや、ガレージ・サウンドを演奏していたバンドや、ネオサイケデリックな音を出してたバンド、そういった60年代後半のロックに影響受けたバンド達の総称で、ネオ・モッズの中から登場したザ・コレクターズも、当時、それの代表バンドとして世に出ました。ミントサウンドレーベルから発売されたネオGSのコンピレーション・アルバム「アタック・オブ・マッシュルームピープル」というのがあるのですが、それを聴いてもらうと当時の雰囲気がわかるかな。前回書いたように私は幼少の頃にザ・タイガーズで音楽に目覚め、その後、10歳位の時にビートルズに出会ってからはずっと洋楽を中心に聴いていて、その後、甲斐バンドやチューリップといったバンドや、当時めんたいビートと呼ばれた福岡県出身のビートバンド達で日本のロックを好きになったのですが、ビートルズや、ザ・フーを中心としたイギリスのポップでありながら骨太なビートバンドやモッズバンド、それと初期ピンク・フロイドやエリック・バードン&ジ・アニマルズといったサイケデリックなバンドが大好きだった私にとって、日本のバンドでは、なかなかそういった音を出すバンドが少なく、いても詩がしょーもなかったり、ボーカルがショボかったりで、乱暴な言い方をすれば、ストーンズっぽいバンドはいても、ビートルズっぽいバンドは当時居なかったんですよね。そんな時、当時ミント・サウンドから発売になったザ・コレクターズのデビューアルバム、”WELCOME TO THE FLOWER FIELDS AND MUSHROOM KINGDOM."を聴いた時、ついに自分にとってパーフェクトな日本のバンドが出た!と狂喜しました。その後、メジャーデビューしてからは、生まれて初めてファン・クラブなるものに加入したり、初めて買ったCDも彼らの3枚目のアルバムだったりと、今でも聴き続けてる大好きなバンドなのです。この本は、いわゆるファン向けのミーハーな内容ではなく、あくまで客観的な論評本で、ディスコグラフィーや彼らのサウンド解説や、リーダーでソングライターである加藤ひさしのインタビューが中心で、コレクターズの音楽の背景を知るのには最適な内容となっています。もうとっくに廃刊となり、今でも再発を望む声が高い加藤ひさしの著作で「AMAZING STREET」というのがあるのですが、これは、バンドブームの頃にあったアイドル的ロック雑誌の連載を本にした物で、その本では加藤ひさしの好きな映画が中心に紹介されていて、好きな映画が私とかなりかぶっていて、当時すごく共感したものです。是非、こちらも改訂版かなんかで再発してもらいたいものです。