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「風船おじさん」今どこに? 妻が思いつづった本出版(00年12月12日)
「風船おじさん」って覚えていますか? 8年前、一人の中年男性が色とりどりの風船にぶら下がって太平洋横断の旅に出て、そのまま行方不明になった。この男性は、東京都小金井市のピアノの調律師、鈴木嘉和さん(当時52歳)。事件の半年ほど前に結婚した妻の石塚由紀子さん(61)=国立音楽大学非常勤講師=が、これまでの思いをつづった本「風船おじさんの調律」(未来社)を出版した。 「夫がどんな思いで飛び立ち、残された私たちは何を思っていたのかを知ってほしい」と本を書いた動機を語っている。 「風船おじさん」と呼ばれた鈴木さんは、1992年11月23日、滋賀県琵琶湖から風船につけたゴンドラに乗り、大空へ飛び立った。上空で偏西風に乗って米国本土まで飛ぶ計画だった。 しかし2日後に、宮城県金華山沖を飛んでいるのを最後に行方が分からなくなった。それから8年。石塚さんは夫の無事を信じ、帰りを待ちつづけてきたが、心の整理をつけるためにも夫の生き様を残しておきたいと、これまで書きためてきた文を本にした。 2人は国立音大の同窓生で、鈴木さんが1年後輩で調律を学び、石塚さんはピアノを学んでいた。鈴木さんは調律師をしながら、子供たちの音楽教育に熱心に取り組んでいた。その一方で、夢を追い求め風船で大空を飛びたいと、テスト飛行をしたりしていた。 そんなとき、鳴き砂博士と言われる同志社大学の教授に会い、風船で太平洋を横断するという夢に挑戦することになった。米本土に渡り、鳴き砂の山として知られるネバダ州のサンドマウンテンの保護を地元の人たちに訴えようという計画だったが、行方不明になってしまった。 本には2人の出会いや風船旅行の経緯、行方不明になった後のすさまじいマスコミ攻勢、飛び立つ前の家族とのほほえましいやりとりなどが書かれている。 石塚さんには3人の娘がおり、長女がピアノ、二女が声楽、三女がバイオリンといずれも音楽家の道に進んだ。家族4人で家族楽団を結成、国内外で演奏活動をしている。 「少年がそのまま大人になったような彼の姿を多くの人に知ってほしい。そして彼から教えられた、音楽を通して一体感が持てる“音楽浴”を広めるため、娘たちと歩んでいきたい」と石塚さんは話している。【川鍋亮】 2008年1月24日 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年01月25日 03時11分12秒
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