「僕の妻はエイリアン」
「高機能自閉症」の妻との日常生活を語った本です。(といっても、実際の著者は妻自身なのですが・・・)一般に「自閉症」といわれるような知的障害を伴うものでなく、「高機能自閉症」とか「アスペルガー障害」は知能に目立った遅れがないため、対人関係の障害がかえってあらわになりやすく、知能が正常であるだけに、「なんでちゃんとできないの!!」と周りが理解できない状況に陥りがちです。この妻と夫も結婚から数年は「なぜ?」「なせ?」を繰り返し、危うく破滅しそうになるまでになってやっと、問題を二人だけで抱えるのではなく、色々な人と共に理解していこうとします。そういった課程は、これからの私自身の仕事を考えても興味深く、また、個人的に、そうやって配偶者が積極的に理解してくれようとするという関係は羨ましく思えました。でも、一つ思ったのは、この夫婦、別に何か特別な夫婦ではないな~っということ。障害があろうがなかろうが、どんな夫婦には危機もあるだろうし、相手を理解するために苦悩することもある。だから、別に高機能自閉症を抱える特別な夫婦の物語っていうのではなく、あくまで「ある夫婦の物語」として読んでも十分面白いと思います。