聖書を毎日、一日数章、一生学ぶプログラム

ピレモン書より

まず、1分de聖書を読みましょう。（篠原利治）

おはようございます。今日は1章だけの短い書、ピレモンへの手紙「逃亡奴隷オネシモ」です。

もしあなたが私を親しい友と思うなら、私を迎えるように彼を迎えてやってください。：ピレモンへの手紙17節

◆要約

キリスト・イエスの囚人パウロから、愛する同労者ピレモンへ。
私は、主イエスへのあなたの信仰と、すべての聖徒に対するあなたの愛とを聞いて、いつも神に感謝しています。ですから、命令よりはむしろ愛によって、あなたにお願いしたいと思います。私パウロが、獄中で生んだわが子オネシモのことです。彼は、前にはあなたにとって役に立たない者でしたが、今は役に立つ者となっています。彼をあなたのもとに送り返します。彼は私の心そのものです。彼をここにとどめておきたいとも考えましたが、あなたの同意なしにはすまいと思いました。あなたの親切は自発的でなければいけないからです。彼がしばらくの間あなたから離されたのは、あなたが彼を、もはや奴隷としてではなく、愛する兄弟として、永久に取り戻すためであったのでしょう。ですから、もしあなたが私を親しい友と思うなら、私を迎えるように彼を迎えてやってください。彼があなたに損害をかけたか、負債を負っているなら、私に請求してください。私がそれを支払います。
私はあなたの従順を確信して、この手紙を自筆で書きました。私の言う以上のことをしてくださるあなたであると、知っているからです。
主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊とともにありますように。（岡崎道成）

◇解説

ピレモン書（1章しかありません）を読んで思うこと。それは、「パウロの執り成し」について。

ピレモン書は、テモテ書やテトス書と同じように、牧会する者へのパウロの手紙です。ピレモン書は、ピレモンへの手紙です。ピレモンは、コロサイ地方の家の教会を牧会していた人物です。

時代はAD61〜63、パウロがローマにおいて囚人でありつつも、軟禁状態の時に自費で家を借りて、ローマの看守に監視されながらも、訪ねてくる人を受け入れて、福音を宣べ伝えていました。

このローマの軟禁状態の時に、パウロは三通の手紙を書いて、愛弟子テキコに持たせて、小アジアに送りました。この三通の手紙が、エペソ書、コロサイ書、そしてこのピレモン書です。

パウロは、愛弟子テキコと共にオネシモも、コロサイ教会に送りました。このオネシモは、ピレモンの元奴隷で、以前はピレモンの家から何かを盗み、ローマに逃亡生活を続けていた人物です。その逃げ込んだローマにおいてパウロと出会い、オネシモは回心して、キリストを信じる信仰に導かれました。

パウロはコロサイ書と共に、ピレモン個人にもオネシモのことで、手紙（ピレモン書）を書きました。「わが子オネシモを受け入れてほしい、キリストにある兄弟として受け入れてほしい」と、執り成しをもって、お願いしました。これが本書（ピレモン書）の背景です。

ピレモン書は、まず兄弟ピレモンの信仰が賞賛され（ピレモン書1〜7）、コロサイ教会の家の集会の牧会者として同労者（1〜3）であること、また聖徒への愛がある人物（4〜7）であることが紹介されています。

そして、パウロによるオネシモ弁護が続きます（8〜20）。オネシモは、パウロにとっては信仰の子であり（8〜12）、キリストにあっては贖われた子（13〜17）であります。そして、オネシモが犯した罪の代償（弁償）を、パウロが自ら言葉にしています（18〜20）。

このパウロによるオネシモの執り成しは、実はキリストによる私たちの執り成しを意味します。罪の奴隷で逃亡生活を続けていた私たちが、導かれてキリストと出会い、贖われて罪から解放され、今度は元の現場（コロサイ地方）に、神の僕として再び送り返されます。神の言葉には、啓示の重なりがあります。

あなたがたのひとり、忠実な愛する兄弟オネシモをも、彼と共に送る。彼らはあなたがたに、こちらのいっさいの事情を知らせるであろう。（コロサイ書4:9）

（篠原利治）