じじい50の日記

2011/03/14(月)11:54

老朽原発の温存に拘泥した

経世済民(57)

去年10月の福島県知事選挙では、連合などが推す現職知事が再選された。このときは老朽原発の廃炉を主張する候補が登場したが、敗退した。老朽原発の危険性については長い論戦が続いている。 去年4月にもあったが、老朽原発は緊急冷却には耐えられないほど材質が劣化しているようだ。(1)自民・公明・たちあがれ日本などの新しい野党から今回の政府の情報開示に対して、批判が出ている。(2) それらの批判は当を得ているが、過去を振り返れば、強いことは言えないだろう。海水注入によって反応を止める方法は「アメリカン・フットボールで、劣勢にあるチームがゲーム終了間際に得点を狙って投げるロングパス 」に擬えられているが、未知の領域に入ってしまった。(3) 当初は短期間で廃炉・解体する計画であった。しかし運転延長を繰り返した結果、老朽化し、緊急冷却には相当の危険性が伴うと見込まれていたようだ。躊躇したのかもしれない。償却費と廃炉費用を事前に電力料金に転嫁し、準備金 (減価償却累計額と資産除去債務) を積み立ててあるならば、容易に建て替え可能であり、キャッシュフロー以外には、使用を延長する理由は無かったはずだ。公益事業に対する会計基準・税法の手当てが足りなかったのだろうか。それとも、廃炉を強制する制度を設けておくべきだったのだろうか。 (1) 老朽原発 材質もろく 吉井議員指摘 運転延長は危険 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-04-10/2010041015_02_1.html 温暖化対策に名を借りて老朽原発を酷使すれば、取り返しのつかない事態になる-。 日本共産党の吉井英勝衆院議員は9日、衆院経済産業委員会で、運転開始から40年たってなお運転を続けている日本原子力発電・敦賀原発1号機(福井県敦賀市)の問題をとりあげて、政府の安全軽視の姿勢を批判しました。  吉井議員は、金属がある温度以下になると急激にもろくなる問題で質問しました。原発を長期間運転すると、原子炉容器や機器などの金属材料は、核反応で発生する中性子を浴び、もろくなる温度が上昇します。 吉井議員は、敦賀原発1号機の場合、運転開始当初はマイナス23度だったが、現在は51度に上昇したのではないかと指摘。経産省はそれを認めました。  吉井議員は「巨大地震など、緊急に原子炉を冷却しなければならない事態が発生すると、ECCS(緊急炉心冷却装置)が働いて、(51度以下の)常温の冷却水が一時に入り、原子炉容器が破損する可能性がある」と述べ、運転延長をやめよと追及しました。  また吉井議員は、1960年代に日本原子力産業会議(現・日本原子力産業協会)が行った試算を示して、炉心溶融など最悪の原発事故を想定した放射性物質の総放出量や、原子炉から何キロメートルの範囲がどの程度被ばくするのか、電力各社に試算させるよう求めました。 直嶋正行経産相は「ご指摘は論理的には理解できる」としながらも、「すべてやるとなると別の要素が加わる」などと、原発災害対策に後ろ向きの答弁に終始しました。 (2) 政府の対応批判=原発爆発「不利な情報開示を」-野党 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011031300121 自民党の林芳正政調会長代理が「情報開示の仕方について後で検証することがある」と述べるなど、野党側からは疑問や批判の声が相次いだ。(略) 公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は「(原子力災害対策特別措置法で)想定した最も厳しい事態だ。再検討する必要がある」と述べ、安全対策の強化を求めた。 みんなの党の浅尾慶一郎政調会長は「不利な状況も含めて開示が必要だ」と強調。 共産党の笠井亮政策委員長代理は「爆発から(官房長官の記者会見で)対応が出るまで5時間かかった」と情報開示の遅さに不満を示した。 社民党の阿部知子政審会長は「(政府の)情報はばらばら、対応も遅れている」と主張。 たちあがれ日本の片山虎之助参院幹事長は「政府は本当のことを言っているのかという感じがややある」と語った。 (3) 米専門家、「未知の領域に入った」 福島原発 http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2790095/6947895?utm_source=afpbb&utm_medium=detail&utm_campaign=must_read 【3月13日 AFP】12日、米国の原子力専門家らが報道陣向けに電話会見し、東京電力福島第1原子力発電所1号機を冷却するため海水が注入されたことについて廃炉も覚悟した「最後の手段」で、「未知の領域に入った」と述べた。  米シンクタンクInstitute for Policy Studiesの核兵器廃絶、環境、エネルギー政策の専門家、ロバート・アルバレス(Robert Alvarez)氏は「恐らく原子炉を冷却して安定させるための真水を注入する能力を失い、最後の手段として海水の注入に踏み切ったのだろう」と述べた。「アメフトで言うとへイルメアリー(劣勢にあるチームがゲーム終了間際に得点を狙って投げるロングパス)だ」  福島第1原発は、非常用ディーゼル発電機も使用できなくなったため、原発に交流電流を供給できなくなるステーション・ブラックアウト(station blackout、全交流電源喪失)と呼ばれる状況に陥った。  原子炉事故のシミュレーションを手掛けている物理学者のケン・バージェロン(Ken Bergeron)氏は、「ステーション・ブラックアウトは、実際に発生する可能性は極めて低いと考えられていたものの、何十年も前から非常に懸念されていた事象だ。我々は今、未知の領域にいる」と語った。(c)AFP/Ken Maguire

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