ぜんちゃんの風に吹かれた日々

昨日の午後、仕事の打ち合わせでHIROさんのところに行った。
HIROさんのところは有名な春の花木の公園近くにある。
土曜日でしかも桜は、ほぼ満開の状態であり大勢の観光客が　訪れていた。
町内会の人たちが汗だくで交通整理にあたっていた。　　　　
車が渋滞する。何をやってんだよ…。桜を鑑賞するほど暇じ
ゃないんだよ。早く通してくれよ。少し、苛立ったが、何も
そんなにアクセクする必要もない。年に一度の春の祭典に
みんな楽しみ喜んでいるのだ。
大らかに微笑み返す余裕も大切なんだと自分に言い聞かせて
みる。　　　　
奥さんはほろ酔い加減で公園から戻ってきた。
「ぜんちゃんも、ほら、行ってきなよ。わはははっ。」
何かに急き立てられ、またゆとりがない自分に気づく。
「ほら、だんご食べな。わはははっ。」
「いやあ満開、満開。自転車貸そうか？行ってきな。
　わはははっ。わはははっ。」

なんとなく和んでゆく。花は満開、花の土曜日だぜ。
「さて、昼寝だ。昼寝だ。わはははっ。」
強烈な眠気が襲ってくる。まずいな。でも、何がまずい
のだろう…。
「おれ、帰る。まだ回るところあるから。」
向こう側にみえる山の公園をすこし眺めた。
ボクはこの頃、こころが貧しくなっているのかも知れない。

また車の渋滞に巻き込まれた。
国道を避けて裏道を走った。目的の場所への最短距離を模索
した。
ところがどうだ。地元のラジオ局の通りに入ったら道路は
麻痺してしまった。
「ラジオ福島桜まつり」には小林幸子などのスターたちが
来ていた。
ボクは完全にかんねんした。　
帰ってゆく小林幸子を追いかけてくるおばさんたち。
みんな片手にカメラ付き携帯を持っていた。
時代だなと思った。かんねんしたボクは穏やかだった。
おばさんたちがとてもほほ笑ましかった。
「さっちぁん、がんばって。」
「応援してるよ。わはははっ。」
ボクの車を横切っていく。ボンネットにぶつかろうがお構い
なしだ。裁けないな。きれいごと言う訳じゃないけど。
なにをかくそうボクはキャンディーズの追っかけだった。
まったく動かない、渋滞の車の中、ぼんやりした記憶が
めぐりめぐる。
眠ってしまいそうだな…。
エアコンを最大に掛けた。TAKE IT EASY…。　　

　　


　　　　　　　　　名所「花見山公園」を望む　（上）

　　　（下）ヒロさんちの前の「桜」を撮影する