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ぜんちゃんの風に吹かれた日々

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バルナバぜんちゃん

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2006年09月03日
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カテゴリ:ライフスタイル
夏の暑い日の出来事。
ボクはシャワーを浴びようと風呂場のドアを開けたら湯船の端っこに得体の知れないコブシほどの黒い物体があった。
たわしのようにも見え、丸めた雑巾にも見え、考えようにはボクの大好物の「おはぎ」にも見えないこともない。
しかし、何ゆえ風呂場に「おはぎ」なのだという最大の疑問が残る。
正直気味が悪いので、ボクは見てみぬふりをしながらシャワーをひねり、時々その黒い物体にお湯を掛けてみた。
するとどうだ。その物体はややカタチを変えて動き出したのである。
「お、おはぎが生きてる!?」
やがてその「おはぎ」から爪が伸び出してくると羽まで広がりだしたのだ。
果してその正体は「蝙蝠(コウモリ)」だった。

ボクは素手で掴むには危険を感じたので雑巾で包み風呂場の窓から放すことにした。
しかしコウモリは鋭いその爪で雑巾にしがみつきギシギシギシと鳴き喚きながら抵抗しだした。
なおも鋭い爪で雑巾にぶら下がるコウモリを激しく振り払う。
(ギシギシギシ、いやだよう、いやだよう…)
んなこと言ったってボクはキミをこの風呂場に住まわせるつもりは毛頭ないのだよ。

ようやくコウモリは観念し夜空に飛んでいった。

数日後、そいつはまた風呂場の隅っこでうずくまっていた。
「おい、おまえ、何か勘違いしてんじゃないのか?」
またボクは同じように雑巾でそいつを包み窓から放してやった。

福島の夏はとにかく暑いので風呂場の窓を開け放して外出する。
だけどまたそいつが窓から飛んできて「ここはおらの住処だもんね」なんて居座れては甚だ困るのでそれ以来、風呂場の窓は完全に閉めることにした。

まだ日中はきびしい残暑が続いているけれど夜はすっかり秋の気配だ。
そんな夜半ボクは最近変な(調べ)を聞く…。
どうやらその場所は台所の換気扇の裏あたり、つまり外の壁面辺りらしいのだ。
(ギシギシギシ…)
その調べはまさしくあのコウモリではないか。

その日夜半過ぎ、シャワーを浴びていたら風呂場の窓越しに何かが飛ぶ(影)をはっきり見た。

キミはそんなにボクの生き血が欲しいのかい。
もしもキミが魔女の魔法でコウモリに変えられた何処かの美しいセレブのお嬢様ならボクの生き血を分けてあげよう。
それで元の姿に戻るのならね。

んなワケナイか…。

しっ、ほらまた(ギシギシ…)あの誘惑の調べが聞える。








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最終更新日  2006年09月04日 02時52分41秒
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