テーマ:癒しの風景(25)
カテゴリ:癒しの風景
「ぜんちゃん、今度ラーメン食べにいくべ!最高に美味い店があっから」
いつもポジティブ・モード全開のまちこねえさんが言った。 自他共に認める麺食いでしかも面食いでもあるボクは頬っぺたをピクリと痙攣させた。 「ほんとに?でも個人的にラーメンの味が合わないと凄く不機嫌になるんだけど」 そんな経過で先週のある日、まちこねえさんやシャチョーに誘われて市郊外のラーメン店に行った。 「オレは味噌だな。これがちょっと酸味があるんだな…それがまたいいんだよ」 シャチョーも案外食い物にこだわるので少し期待した。 まちこねえさんとOさんは塩ラーメンを注文したのでボクは醤油にしようかと考えたがシャチョーが「味噌味噌絶対に味噌大盛!」とおっしゃるのでボクも味噌大盛でリーチを賭けてみた。 「う~ん!まさに味覚の字一色、大三元ダブル役満って感じですわ」 とふざけている場合ではなく本当にボクにとっては今まで食べたラーメンのベスト3にランクインしてしまったのだ。 とにかく味噌ラーメンに関してはベストワンなのである。 スープのバランスも麺もチャーシューも完璧だ。ボクは思わず感動して笑ってしまった。 まちこねえさんの話しによれば以前まで市内の繁華街で長く営業していたいわゆる老舗のラーメン屋だったらしい。 その味を息子さんが引継ぎアレンジして郊外にその新しい店オープンしたのだ。 確かに根本的には「札幌みそラーメン」そのものだがツルツルの上品な卵麺が絶妙に酸味のあるくどさの一歩手前の濃厚な味噌スープに絡み、上品な作品に生まれ変わったのだ。 まさに一子相伝、守られてゆく味にボクはひとり感動の余韻に浸ったのである。 伝えられてゆくべき美味しいもの。 味はまさに遺産であり継承されるべき文化だ。 飲み屋帰りの客の御用達、中華食堂Dはもうない。 あの絶品のスタミナラーメンも冷し中華も餃子ももう食べられない。 腹を空かした若いサラリーマンの為にあったようなM食堂のヴォリューム満点のカツ丼もニラレバ定食ももう食べられない…。 こうして考えてみると絶滅危惧動物と同様に絶滅危惧食堂の味があるのに気付くのだ。 はたして街の食堂は存続して行くのだろうか。 いつ食べても同じ味のラーメン店、そのチェーン店、林立するファミレス、画一化するドリンクバーを嘆かざるをえない。 でもそんな警鐘を鳴らすいい加減なボクは度々ファミレスを利用するんだけどね。 しかしだいたいその店の味って、「あんかけ」か「野菜炒め」を食べると分かっちゃう感じってあるみたいだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年11月19日 00時27分46秒
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