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カテゴリ:秩父巡礼
第7番札所
山号:青苔山(せいたいさん) 宗派:曹洞宗 本尊:十一面観世音菩薩 巡拝日:2008年4月1日 ----------------------------------------------------------------- 六番・卜雲寺へ登った道をそのまま西に向かうかたちで引き返すと、 右手に七番・法長寺の大きなお堂が見えてくる。 横瀬の市街地の地形は横瀬川を中心に段丘になっている。 東側から見ればほぼ平坦な土地に建っているように見えるこの札所も、 寺の裏手は急峻な崖になっていて、西側から見れば、 見晴らしのいい丘の上にある寺のように見える。 よって、秩父方面からは遠目にも目につきやすい場所にあるのだけれど、 加えてここの本堂は三十四ヶ所の中で最大というから、 最も見つけやすい札所と言ってもいいかもしれない。 簡素な山門をくぐると、その本堂は左前方にどっしりと構えている。 武甲山を切り刻み続ける巨大な工場が、その背後に迫る。 この本堂はMr.エレキテル、平賀源内の設計によるものだとか。 大ぶりな軒唐破風は建物の中央をやや左に外れた位置に付けられている。 この配置がそもそも源内の設計によるものならば、あえてシンメトリを避けたところに、 彼の主張があるような気がして、興味をそそる。 さらに、実際に見ることは出来なかったけれど、 お堂内部の欄間には四国八十八ヶ所の八十六番、志度寺の縁起である、 『玉とり物語』の彫刻が施されているとか。 志度は源内の故郷だから、これも源内のアイディアとすれば、なおさら興味深い。 なぜ源内設計の本堂が秩父に建っているのかと疑問だったが、 後日あらためて調べてみると、源内は江戸期の秩父の発展に浅からぬ功績があり、 疑問の点と点が頭の中で一気につながった。 1782年に観音堂が焼けて以来本堂で過ごしておられるという十一面観音菩薩さまを拝み、 ご朱印をいただこうと納経所へ向かうと、自分とあまり年齢の変わらなそうな奥様が、 とても丁寧に書き入れをしてくれた。これまでの5ヶ所はどこも、 明らかに自分よりかなり年上の人たちが応対してくれていたので、 正直驚き、なぜか照れる。 駐車場へ戻ると、さっき六番を賑わせていた一行が押し寄せてきた。 ひとりの巡礼は寂しいと思う。人けのない札所では、ふと不安になる。 しかし、その寂しさが自分を下界から引き上げてくれているようにも感じる。 少なからず、巡礼はトリップでもあると思う。 それが、巡礼団に出会うと、彼らも目的は同じであるはずなのに、 下界に引きずりおろされるように、とたんに我に帰るような気分になる。 七番を喧騒が包んでしまう前に、早々に八番へと向かうことにした。 青苔山法長寺 埼玉県秩父郡横瀬町横瀬1508 tel.0494-22-1921 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年10月20日 11時34分21秒
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