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カテゴリ:元気が出る話
普通の生き方って ◇6◇ NPO法人「コットンリングス」理事長 社会福祉法人「睦月会」理事長 文京学院大学教授 綿祐二 障害者の家族って前向きに生きていくしかないんです
よくこんなことを言われます。「先生のご家族は幸せですね。先生は障害者福祉の専門家ですし、施設だって経営してるじゃないですか」
実は僕の施設に自分の家族は入っていないんです。オーナーですからベッドを確保するのは簡単です。でも違うんです。プロの支援員でも、目の前に家族がいたらプロがプロでなくなるんです。
たとえば、知的障害の方が同じことを何度もしゃべってきます。僕はプロですから、何度でも笑顔で応えます。でもね、悲しいかな自分の家族が何度も同じことを言うとイライラするんです。同じ障害者なのに。
所詮、家族は家族なんです。だから、僕の家族はヘルパーという第三者が入ってくれています。そうすることで初めて支援が成立するんです。
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またこんなことも言われます。「先生はなんでそんなに前向きなんですか?」って、僕は決して前向きなんかじゃありません。そう見えているだけです。実は障害者の家族って、前向きにしか生きていけないんですよ。振り返ると落ち込むだけですから。
僕は毎日夜中でも兄弟たちのおむつ交換をしなければなりません。肉体的にもフラフラです。
兄ちゃんと母ちゃんは目が見えないから僕の顔を知りません。母が両手で僕の顔を触るとき、「あ~母ちゃんの目が見えたらな」って思います。
でもね、そう思うと見えないという現実があるので余計つらくなるんです。だから、障害者の家族って前向きにしか生きていけないんです。目の前にある壁を一つひとつ越えていくしかないんです。
だから前向きに見えているだけなんですよ。でもそれが生きていくってことなんですね。きれいごとじゃないです。
お金だって掛かります。車いすがパンクしただけでもお金が掛かります。
ですから僕たちが当たり前の生活を送るためには、目の前の壁を超えるパワーを如何にして持ち続けるか、なんですね。
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僕には障害者家族としてのプライドが一つだけあります。それは何かというと、一回だけ母親にこんなことを言われたんです。「障害者の家族に産んでごめんね」って。
そのときは無茶苦茶悔しかったです。そして、「もう絶対言わせないぞ」と誓いました。それが僕のプライドです。
障害者の家族は泣きながらでも、目の前にある壁を破っていかないといけないわけです。それをこういう「家族の会」で本音で語っていくのもいいかなって思います。
それから、今の福祉制度に対しても「悪い、悪い」と言うのは簡単です。でもそんなことを言うよりも、「家族の会」とか勉強会などで、自分たちの本音を、声を大にして言うことのほうが大切なのかなって思います。 (肢体不自由児者父母の会宮崎大会での講演会より~終わり)
『みやざき中央新聞』2011年(平成23年)6月13日2416号発行紙より記事抜粋。
爺曰く、一時的かも知れないが、今爺は障害者2級の車いす生活です。でも、全然凹んではいません。何故なら、今は障害者だけれどもきっと治すんだという気持ちと、明日のことは分からない、今日を取り敢えず無事に過ごせればいいなと言う気持ち、PCをいじる、本を読む、音楽を聴く等々する事が沢山あります。凹んでいるような気持ちにならないのです。
ああだこうだと考えても結局何も見いだせないのだから、考えるだけ無駄な時間がいる。パワーがいる。費用対効果が出ないのです。そうであれば、一日一日を楽しく前向きに生きていくことが大事ではないでしょうか。別に、障害者だろうが健常者だろうが同じことなんです。前向きに生きてこそ人生が楽しめるんです。先行き不安だとか、将来に希望が持てないとか、夢がないとか聞きます。そんな一秒先の事も分からない今日日です。そんな事を考えているから精神的に参ってしまい、うつ病が多くなっているんです。嫌な事は右から左に流し、調子が悪ければ死んだふりをして困難をやり過ごす。明日の事などケセラセラです。≪爺私見≫
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