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カテゴリ:シナリオ
標高300mほどの山の一角に突き出た大岩には悩みがありました。
大岩:周りの岩山たちには木が生えているのに、どうして僕のところ には木が生えてくれないのかな? 雨が降ったら傘になり、雪が降っても屋根になってくれる木が 欲しいな。 そこへ裾野に広がる樹林から風が駆け上がってきました。 風: 大岩君、こんにちは! あれ、元気がないね、どうしたの? 大岩:周りの皆と同じようにふさふさとした木が欲しいんだよ。 風: 僕はふさふさした木は嫌いだよ。だって走り抜けるのにじゃま なんだ。 だから木の無い君のところを走るのが一番好きだよ。 大岩:僕は君が嫌いさ。君は僕が少しずつ貯めていた土を、吹き飛ば してしまうじゃないか。 だから僕には木が生えないんだよ。僕は怒っているんだぞ! 風: そんなに怒らないでおくれ。僕以外にも君のことを大好きな人 間が一杯いるんだよ。 ほら!誰かやってきた。彼らの声を聞いてごらん。 一組の家族が大岩によじ登り、楽しそうに話し始めました。 家族:今年もこの大岩にやってくることができたね。いつ来てもここ からの眺めは最高だ。 足元にはが広がり、向かいの山の頂上にはお城が見える。それに 大きな川も見えるし、振り返ると広々とした平野が一望だ。 何より木々を渡ってくる風がさわやかで、気持ちが良くて元気が 湧いてくるね。 その家族はそれぞれのポーズで写真を撮って帰って行きました。 風: どうだい、聞いたかい? 君は多くの人を幸せにしているんだよ。 大岩:そう言えば、僕の頭に座る人たちは皆、同じことを言っていたね。 さえぎるものがないから、右も左も、前も後ろも、それに足元も空 も見えるんだね。 風: そうだよ。この山で360度見渡せる場所は君の上だけなんだよ。 大岩:なるほど!役に立っているんだね。もう悩まない。 僕は君が好きになったよ。 又、来てね。 風: もちろん来るさ。僕もわかってもらえて嬉しかったよ。それじゃ、 バイバイ! 大岩:バイバイ!君のお蔭で悩みが無くなったよ。今のままの僕でいいんだね。 ありがとう お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.05.13 20:49:17
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