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2017.11.13
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カテゴリ:シナリオ

​9月下旬の話で恐縮ですが、老夫婦は初秋の霧ヶ峰高原に向かって山岳ドライブを楽し
んでいました。二人にとって霧ヶ峰高原は日本の中で、最も高原らしい高原だと思っ
ています。二人が到着したのは午後4時過ぎ、草原に広がる若いススキの穂が、秋の夕
日で黄金色に染まって揺れる様を見に来たのです。駐車場に車を止め、忘れ路の丘を
登ると、思惑通り蛙原(げろっぱら)を覆う若いススキの穂に夕日が降り注いでいまし
た。ススキの草原が一面に黄金色に輝く景観は何とも幻想的です。二人は写真とビデオ
の撮影に夢中です。こうして、蛙原のススキを堪能した二人は暗くならないうちに帰ろ
うと、池のくるみ踊り場湿原経由で中央自動車道の諏訪ICに向かって車を走らせました。

夫:ススキも完全には成長しきれていないかもしれない初秋のこの時期に、ここを訪れ
  る人はさすがに少ないね。だけど、若いススキの穂が夕日に照らされた色合いはこ
  の時期ならのものだ。

妻:今日は天気に恵まれて富士山も八ヶ岳連峰も見えたし、若いススキが黄金色に輝い
  て、踊っているような様子も堪能できたから、今日の狙いは当たったわね。ニッコ
  ウキスゲの初夏もいいけど、これから本格的な秋にかけてのススキの草原も良いわ
  よね。何より人が少ないからゆったり歩けるし。

夫:昨年だったかな、ここへニッコウキスゲを見に来た時に、花畑が電気柵で囲まれて
  いて、全く自然な感じがなくて、まるで植物園に見に来ているようでがっかりした
  よね。鹿の食害から守るためだと書かれていたから、鹿の頭数が昔より多くなって
  いるんだろうね。でもススキの原っぱだけは食害に会うこともないから、電気柵で
  囲われることはない。電気柵のない自然そのものの景観で楽しめるのもいいね。

妻:あら!もう池のくるみ踊り場湿原が見えてきたわよ。湿原は草紅葉が始まっている
  わね。今日はまもなく陽が落ちるから立ち寄れないけど、今度じっくり歩きたいわ
  ね。

夫:この踊り場湿原は鹿、ウサギそして狸などの野生動物に遭遇する機会が多いと書か
  れていたよ。本当の話かどうか歩いてみたいね。次回のお楽しみに取っておこう

踊り場湿原を過ぎ、更に山岳道路を下り始めると、先の見えない七曲の道になります。
注意深くゆっくり走行していると車に急ブレーキがかかりました。

夫:目の前に大きなシカがいる!噂をすれば蔭とやら!と言ったところだ。あっ、逃げ
  た!藪に入っていった。路肩に車を寄せて止めるから、鹿がまだいるかどうか見て
  くれ。

妻:いるわよ。藪の中からこちらを見ているわ。あら!小鹿が近くにいる。親子だ。

夫:この道幅じゃ、後ろから車が来たら前へ動かさなくてはダメだな。今は車が来てい
  ないから大丈夫だ。早くカメラの準備をしてくれ。後ろから車が来るのが先か、あ
  の鹿たちに逃げられるのが先か、わからないけど、とにかくバシャバシャ写したほ
  うがいいよ。後方車の様子は監視している。

妻:準備OK。撮るわよ。直ぐに逃げると思うから、連写でいかないとダメね。あら、鹿が
  逃げないでこちらを見ているわ。これなら慌てないで良さそうよ。

夫:車との間に藪があるから安心しているようだ。どうやら直ぐには逃げないと思うから、
  落ち着いて写した方がピンボケ写真にならないでいいと思うぞ。

妻:わかったわ。フラッシュの光は逃げちゃうだろうし、多分光が届かないと思うの。思
  い切ってISOを上げて望遠で撮るわ。絞りも工夫してみる。鹿のいる藪の中の明るさが
  弱いからどんな条件に合わせても、うまく撮るのは難しそうね。

夫:それに加えて手前の藪が邪魔して鹿にピントが合わせにくいから更に写すのは難しいぞ。

妻:腕の見せ所ね。失敗した時のために、そっちもしっかりとビデオで証拠映像を残してお
  いてね。

夫:了解した。後ろの車の気配を注意しながらだから、連続して写し続けることは難しいか
  もな。頼むから後ろの車は来るなよ。そして鹿の親子さん、もうしばらくそこにいてく
  れよ。

妻:窓を開けたいけど、音が聞かれると逃げちゃうわね。

夫:失敗写真は後で消せるんだからバンバン写せよ。後ろから車が来ないかどうか心配だ。

妻:後ろじゃないわよ。見て、対向車線に下から車が上がってきた。あの車がすれ違う時に
  車の音で逃げちゃうかもね。

夫:そうなったらそこまでだね。おい!今、車がすれ違ったぞ。大丈夫だ。鹿が少し動いた
  だけでまだ藪にいるぞ。ラッキーだ。

妻:でももうだめ!鹿は藪の深いところに移動を始めたわ。もう写真は無理だわ。今回はこ
  こまで。1枚でも2枚でもうまく撮れたのがあるかな~。

夫:霧ヶ峰高原を管理している人たちにとっての鹿は、高山植物を食い荒らす害獣かもしれ
  ないけれど、こうして目の前でつぶらな瞳の鹿と目を合わせていると、とてもかわいく
  て害獣なんて発想にならないね。

妻:本当にそう思うわ。

二人にとって山岳道路での鹿との遭遇は初めてではありませんが、ここ数年は出会っていま
せん。写真とビデオを写している時の二人の興奮が伝わりましたか?おそらく鹿の親子との遭
遇時間は2分位だったと思います。





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最終更新日  2017.11.13 19:52:43
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