テレビの高画質化はどこまで進むのか?
今年はテレビ放送(1953年2月1日)開始から60年、人間で言えば還暦の年だ。そして地上デジタル放送になって丸2年になる。今、テレビは3D化や4K、8Kといった高画質化に向かって進化している。私はこの急激な進化に追いついていけず、家電店に行ってもテレビの販売コーナーに足を向けることはなかった。ところが先日、偶然にテレビで4K画像をハイビジョン用に変換した「カナディアンロッキーの風景」を、さらにWeb動画YouTubeで「青森のねぶたまつり」の様子を8K画像で見て、これらの映像の美しさに衝撃を受けた。画像の美しさは私の想像を遥かに上回るものだった。そこで、テレビの高画質化について改めて調べてみた。1.アナログ放送からデジタル放送へ 地上デジタル放送はものすごく高画質の映像を圧縮して送っている。しかも受信側 のデータ欠損が少ないので、地上アナログ映像より遥かに高画質、すなわちフル ハイビジョンなのだ。 買い替えによって高画質映像の実力を、まざまざと見せつけられた。2.フルハイビジョンから4Kそして8Kへ 4Kとは大画面・高画質を追求した次世代のテレビだ。従来のフルハイビジョンと比較 して4倍の画素数と、人が目にする風景を忠実に生成するというICC技術の使用を 組み合わせることで、たなびく髪の毛一本にいたるまでくっきりと、また、跳ねる 水滴のひと粒までも鮮やかに描写する。8Kは更に上を行く16倍の画素数だ。 (※4K液晶テレビとは? …横3,840x縦2,160ピクセル以上の画素数を持つパネ ルを搭載した液晶テレビ。横方向の画素数が3,840(約4,000)≒4K(キロ)な ので、4Kテレビと呼ばれている。DVDの画質に比べると24倍の画素数) 私の見た4K映像はフルハイビジョン用に変換したものだが、それでも通常のフル ハイビジョン画像と比較して、4Kの画像は圧倒的に綺麗だった。 8Kテレビは更に高画素数だ。私はパソコン画面で動画サイトのYou Tubeで8Kの 画像を見たが、印象に残ったのは3D並の立体感だった。すなわち、高画質になる ほど3Dが不要なほどに立体感が出てくることを初めて知ったのである。3.4Kそして8Kからスマートテレビへ 高画質化が行き着くところまで行けば、次は機能の拡大になるのだろう。「テレビ を超える新世代のテレビ」といわれるスマートテレビは将来のテレビの主力になる と言われている。大画面・高画質の視聴を目的としたこれまでのテレビとは違い、 ネットを通じた映像視聴から家庭内の様々な機器を管理し、制御する役割も担える テレビだ。そこで、インターネットテレビとも呼ばれている。4.どこへ行く3Dテレビ 3Dテレビが売れていないようだ。2010年ごろに次世代のテレビとして鳴り物入り で登場し、映画「アバター」のヒットで一躍脚光を浴びたが、世界的な退潮が明ら かなようだ。理由はメガネと制作費の高さがネックなのだとか。5.テレビ画面はどこへ向かうのか 新しいテレビのトレンドとして注目されているのが「湾曲した4Kテレビ」。画面を 湾曲させることで、画面が視聴者を取り囲むような形になり、これまでの平面画面 よりも臨場感のある視聴体験が得られるそうだ。ちょうど映画館のスクリーンが中 央に向けて湾曲しているように。このシアター体験を家庭で楽しめるのが狙いだ。6.4Kテレビはテレビ需要の起爆剤となり得るのか? テレビを売ろうとしてメーカーが製品のスペックを4倍に高めても、消費者が現在の フルハイビジョンの画質で満足していたら、4Kテレビは売れない。 テレビの需要は2010年度に最盛期を迎え、年間2568万台を販売したが、201 1年7月24日の地上アナログ放送から地上デジタル放送への移行を境に販売台 数が一気に減少。2013年度の年間出荷台数は600万台を超える程度に留まる と見られているという。こうした状況下で4Kテレビは起爆剤となるのだろうか。 今、4Kテレビは4Kテレビ放送が始まっていないにもかかわらず、価格が安くな ってきたことと高画質化の需要が健在であることから、結構売れているようだ。 それはパソコンとの接続など「4Kの可能性をテレビだけで終わらせるな」という コンテンツが支持されているからだとも聞いている。余計なお世話だとは思うが、 3Dの二の舞にならなければ良いが・・・といささか心配している。 2020年のオリンピックイヤーには8Kテレビが市場に出て来る。次にどんなテレ ビを購入すべきか、悩ましいところだ。