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2008.02.16
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カテゴリ:lovesick
悠斗の言い方につい笑ってしまいながら、意を決してしようとしていた告白をあっさり、悠斗に延期にされたことを、私は、がっかりしたような、ほっとしたような、いろんな気持ちが混ざった感じで受け止めていました。でも、珍しい。悠斗が、そんなこと言い出すなんて。何かあったのかな?逆に心配になってしまいました。
『何か、、あったの?』
悠斗は、笑って、
「いや、なんか、撮影が延びちゃって、ちょっと疲れてるから。大切な話だと思うから、もうちょっと調子のいいときに聞きたいんだ」
私は、うなずきました。冷たい風の中から暖かい部屋に戻り、あったかいココアまでもらって、酔いもすっかりさめていた私は、私だって、そうだな、と思いました。みんなが騒いでいる部屋の横で、こんな大切な話、するわけにもいかないし。。悠斗は、俯いて、少し黙っていましたが、私の方を向いたと思うと、私の目を覗きこんで言いました。
「楓、愛してるよ」
真剣な瞳の色、誠実な声、優しい表情。いつもどおり率直に差し出されるとても大きな愛情に、私は息が詰まるほど、胸が締め付けられてしまいます。まっすぐな視線がいたたまれず、目を閉じても、震えてしまう唇。私も、愛してるよ、悠斗。心の中で思っても、もちろん、言葉にはできません。。たとえ、、そう、たとえ私の声が出たとしても。。
「目、開けてよ、楓。もっと瞳の奥、覗かせて」
私は、言われるままに目を開けました。私を覗き込む悠斗の瞳。何もかも見透かされそうで、ひどくドキドキしてしまいます。
悠斗は、私の目を愛しそうにしばらく覗いて、満足そうにうなずくと、
「ありがとう」
と言いました。そして、追い討ちをかけるように、
「やっぱり、どうしようもなく愛してる」
と、また優しい目で、声で。
私の目には、涙が浮かんできました。無意識だとしても、魅力的過ぎる瞳。ずるいよ、悠斗。そんな目で見つめられたら、私、ちゃんと全てを話して、あなたを振り切ろうとしてる気持ちが萎えちゃうよ。あっという間に視界がぼやけ、あふれる涙。悠斗は、指で私の涙をぬぐいながら、悲しそうな声で、ささやきました。
「なんで、楓が泣くんだよ。離れようとしてるのは、、俺を置いていこうとしてるのは楓なのに。。俺に、、謙吾との事、何もかも話して、、そのまま、俺のこと、置き去りにしようとしてるんだろ?楓」
悠斗。。私は顔をあげることができませんでした。
「愛してるって何度でも言うよ。楓がこうして目の前にいる間は。それで、少しでも楓の心が動くなら。。。愛してる、愛してる、愛してる、楓。だから、お願いだから、俺を、ちゃんと見て。この頃、ずっと、楓が俺を捨てる日までのカウントダウン聞かされてるみたいで、気が狂いそうだったよ。隣にいても、楓は、、、いつも」
悠斗は少し言葉を切って、私の頬に手を添えて顔をあげさせ、もう一度目を覗きこんで言いました。
「楓は、いつも、過去ばかり見てる。」
哀しそうな瞳で、自嘲気味に微笑んだ悠斗は、
「最初から分かってたことなのに、、、つかめそうでつかめないことが、こんなに辛いとは思わずにいたんだ、俺、、、馬鹿だよな。」

確かに、私は過去ばかり見ていました。悟の死にとらわれていた2年前のこと、そしてそこから、たった1か月分進んだだけの謙吾との過去。ごめんなさい、悠斗。あなたを苦しめて、傷つけるだけの私。なんで私はこうやって大切なものばかり、傷つけていくんだろう、と涙の中で思っていました。

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最終更新日  2008.02.16 00:11:45
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