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夜中にふと目が覚める。
慶介を起こしてしまわないように、 目だけを動かして、慶介の寝顔を眺める。 月明かりに照らされる慶介の寝顔。 少し難しい顔をしている。 悩ませているのは私、、だよね? 紘人が死んですぐから、もう2年も、慶介はこうして添い寝してくれている。 闇の中で目を覚ましても、 悪夢に目を覚ましても、 いつもそこには優しい慶介の顔。 私が身動きすれば、すぐに目を覚ましてくれる。 何も言わずに、優しく微笑んで、大丈夫だよって伝えてくれる。 私はずっと、慶介に嫌われていると思っていた。 同じバンドにいた時も、紘人と付き合いだしてからも。 だから、最初はとまどった。 なんで、いつもきて、添い寝してくれるのか。 聞いてみたことがある。 あれは、まだ、紘人が死んでまもない頃。 添い寝してくれている腕の中で。 「ねえ、ケースケ、なんでいつも来てくれるの?」 「イヤなら来ないけど?」 「イヤなんてことないよ。私は、嬉しい。添い寝してもらえると、すごく安心できるし。でも、、誰かと寝ないの?」 「ほっとけよ」 「いつもあんなに、次から次に女の子、とっかえひっかえ。。昼も夜もだったじゃない?」 「人を変態みたいに言うな。」 「だって、事実じゃない」 「・・・ちょっと前に、そういうのやめたんだ」 「なんで?」 「・・・・」 「ヒロトが死んだから?」 「違う、その少し前から」 「・・・?」 「たまたま寝た女が、よりによって同じ事務所の仲間の女だったんだ。ふざけた女で、そんなこと何も言わなかったから、全然知らなかった。そいつは、俺を責めずに許してくれたけど、、さすがに、申し訳なくて、自粛することにしたんだよ」 「今は、、、じゃあ1人で・・?」 「そこまで聞くな」 「・・・変態」 「どっちが?・・じゃ、お前を抱こうか?」 「だけど、ケースケは私に興味なんてないでしょう?こんなに一緒に寝てて、ほんとに全然、手を出さないなんて、よっぽどケースケは、私がキライなんだね。」 「・・・(フーっ)」 「何のため息?」 「別に。・・・俺はキライでも、いい女なら抱けるぜ。」 「・・・」 「冗談だよ。離れんなよ。だからって俺としたくもない女を抱くほど女に困ってない」 「じゃあ、やっぱり、今も昼間に、誰かと寝てるの?」 「・・・もう、いいだろ?この話。あんまりしつこく聞くと、今、ヤっちゃいたくなるかもよ?」 この頃はまだ、添い寝してくれる以外は、そっけなかった慶介。 だから、まさか、私を愛してくれていたなんて、私は全然、気づいていなかった。 その深い愛情を知ったのは、それから、しばらくして、あることが起こったから。 慶介の愛情を知ってから、もう1年と半分。 私は、その愛にどう答えていいのか分からないまま過ごしてきた。 それでも、今も私を抱くこともなく、添い寝を続け、 穏やかに変わらない愛情をくれる慶介。 ごめんね、ケースケ。 もう1度、慶介の寝顔を見る。 少し、体が動いてしまったのか、眠そうに薄く目を開けてこちらを見る慶介。 「・・ど、した?・・眠れない?」 ケースケの寝起きの声は、いつもよりも低くて、とってもセクシーで私をドキドキさせる。 私は、その思いをさとられないように、ゆっくり首を振ってから、微笑んで、慶介の胸に、頬をつける。 慶介は、私の背中にそっと手を添えてくれる。 ずっと、こうしていたい。 ずっと、ケースケの腕の中で。 この感情は、紛れもない、「愛」だって知っている。 随分前から気づいている。 私は、ケースケを愛している。 でも・・・。 ←1日1クリックいただけると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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