毒食わば
某所の祭で売られたキノコの話ではない。戦国時代は仕える主君を自由に変えられた……というが、それはごく一部の非凡なサムライにのみ許された選択権だったのではなかろうか。多くの家来は主君の滅亡とともに、文字通り城を枕に夏草の露と消えたはず。このたび親しい知己が幾人か路頭に迷う憂き目を見た。好き嫌いでなく、実益をもとめて小沢さん系統の利権に群がった人々だ。こちらから交友関係を切る気はないが、正直、同情もしていない。それが彼らの予定調和なのだから。むかし、東南アジア某国の役人から、「政治家と仲良くするより、我々官僚と仲良くしなさい」と求められたことがある。政治家は失脚すれば、すべての先行投資がパーになるけれど、役人は為政者の変遷と関わりなく、しぶとく往き続ける。いま思うと、切実な含みに富んだ教えだった。