電力の小売自由化と、関西電力の新電力メニューに潜む罠
4 月からの電力の小売全面自由化に向け、新たな電気料金メニューが各社から発表されつつあるが、年単位の縛りが導入されたり、決して使い勝手のよいものではなさそうだ。電力会社も、新たな電力料金メニューの導入を進めているようだが、これが曲者で、大幅な料金アップにつながる恐れが多分にある。例えば、関西電力の eスマート10。22:00〜08:00 が「お得なナイトタイム」と唄っているが、ナイトタイムが 23:00〜07:00 しかない はぴeタイムより、ナイトタイムの電力単価が非常に高い。(はぴeタイム: 13.10円/kwh, eスマート10: 18.60円/kwh)。それ以外の時間帯の料金の比較は条件が異なるので、どちらが割高か明言し難いが、実質的な電力単価は、新メニューの eスマート10 の方が割高になりそうだ。なお、これらのいずれも、夏期の昼間電力単価は他季より高くなる。更に、隠れた料金差として「契約電力」に注意したい。従来型料金 (はぴeタイムなど) では、契約電力はブレーカの容量で押さえられていたが、新規型料金 (eスマート10) では、これがなくなり、30分単位で計量し算出した使用電力の月間の最高値を、なんと2倍したものを、その月の最大使用電力とし、過去一年間の最大使用電力の最も大きい値を「契約電力」とするようだ。例えば、3線式で 50A のブレーカをつけている場合、使用できる最大電力は 10kVA となるが、その 6 割の 6kVA 程度を同時に使うことは、年に一度は十分あるだろう。このとき、契約電力は、6kVA * 2 = 12 kVA とされてしまう。最大でも 10VA しか使えないにも係わらず。そんな馬鹿なと思うが、従来、"ただし、お客さまと関西電力との協議により、最大需要容量が「従量電灯A」に該当する場合、「従量電灯A」に準じて得た値にもとづきご契約容量を定めます」"という表現で、ブレーカ容量に基づいて契約容量を押さえてきた文言が、新規型料金からは消えているのだ。しかも、はぴeタイムの基本料金は、最初の10kVAまで 2,160円。対して、eスマート10の基本料金は、契約電力6kWまで 1,188円で、6kWをこえる1kWにつき 388.8円。先の例では、はぴeタイムの基本料金は2,160円だが、eスマート10では 3,520円に跳ね上がる。関西電力が新たに導入する eスマート10 は、従来メニューとの違いを敢えてややこしくして、高い電気料金メニューに誘い込もうとする罠に思えてならない。なお、個人的には、夜間に電力消費をシフトでき、昼間の消費電力が特に多くないならば、夜間扱いが 23:00〜07:00 であるが、夜間の電力単価が 13.10円/kwh, 基本料金がブレーカの容量で押さえられ最初の10kVAまで1,188円、更に、昼間の電力単価が 最初の90kWhまで 24.71円/kwW, 90kWh超過230kWhまで31.66円/kwWで、季節加算もない「時間帯別電灯」が、最も割安そうだと判断している。こういう、我が家に適した料金プランを利用してると、他社のセット割りプランは魅力がないんだよねぇ。なお、この「時間帯別電灯」は、4/1 以降、新規加入を停止されてしまう。これも、割高な料金メニューへのシフトを目論む関西電力の陰謀だろう。# 北陸電力の類似の電力メニューを利用できれば、メリットがありそうなんだけど……