東亜日報・日本のTSMC工場は国会議員が建てた
日本のTSMC工場は国会議員が建てたPosted March. 02, 2024 08:47, Updated March. 02, 2024 08:47東亜日報先月24日、日本の熊本県で開かれた台湾TSMC工場の開所式の演壇の真ん中に、TSMCのモリス・チャン創業者が立っていた。その左側には、与党自民党の甘利明議員と萩生田光一議員が並んでいて、一緒にテープを切った。意味のある工場の起工式や完成式に国会議員が来るのは、韓国でもよくあることだ。普通は選挙区の国会議員が登場して、写真がよく撮れるところに立つ。三星(サムスン)電子の平沢(ピョンテク)・華城(ファソン)キャンパスの起工式の2015年と2018年に、各々該当選挙区の与野党国会議員が演壇に立った。しかし、半導体工場の行事に登場する韓国の国会議員が、意味のある政策を推進したという話は聞いたことがない。華城の起工式に出席した野党(当時与党)議員はその後、中小ベンチャー企業部長官になって三星電子を訪れ、中小企業への支援協力を要請したという記事は出ている。平沢の起工式に出席した与党議員は、今、国会先端戦略産業特別委員会の委員長を務めている。同特別委員会は、発足後10ヵ月間、4回会議を行い、それさえも2回は委員長や幹事選任のための会議だった。萩生田氏は東京、甘利氏は神奈川県が選挙区だ。TSMC工場のある熊本まで1200キロ以上離れた「他人の町」だ。日本も韓国のように当選するためには、中央政治より裾野の選挙区活動が重要だ。「なぜ私たちの町に半導体工場を誘致しなかったのか」と批判される余地もなくはない。それなら、一体彼らはなぜ演壇に立ったのだろうか。朝日新聞が先月27日に報じた「TSMC誘致の真相」の記事に、興味深い部分がある。2021年4月、当時の菅義偉首相が米国のバイデン大統領と行った日米首脳会談後に発表した共同声明には、52年ぶりに初めて「台湾海峡の平和と安定の重要性」が取り上げられた。当時は、中国を牽制するための日米同盟の強化程度と解釈した。日本政府の狙いは少し違った。単純な軍事的牽制を越え、中国が台頭する半導体で日米が協力しようというポイントをつかんだ。自民党がすぐに動いた。党産業政策通の甘利議員は、「(単なる)産業育成ではなく、国家戦略として引き受ける」とし、半導体戦略推進議員連盟を立ち上げた。安倍晋三前首相も発足メンバーに名を連ねた。経済産業相(長官)だった萩生田議員は国会で、「世界的な流れを読むことができず、適切な政策をまとめることができなかった」と頭を下げた後、半導体戦略作りを指示した。いつものように仕事をしていた経済産業省の官僚たちに対し、「高校学芸会の準備をしているのではない」として強く追い詰めた。日本政府が日米首脳会談後、2ヶ月ぶりに用意した「半導体デジタル産業戦略」とTSMCの誘致はこのように実現された。私たちが知っていた「判断の遅いアナログ式」の日本とは全く違う姿だ。そのようにして着工し、365日24時間突貫工事で建設したところが、先週公式開所したTSMC熊本工場だ。もっともらしい写真を一枚を撮って、広報用の議政報告書を作るため、食客として参加したわけではない。激変するグローバルサプライチェーンの再編の流れを逃さず、積極的に海外企業を誘致し、世界半導体サプライチェーンの中心に再び立つという強い執念を示した舞台だった。韓国はどうか。浅はかな政治工学的計算で京畿(キョンギ)南部を「半導体ベルト」と名付けた選挙戦略だけがある。勝者だけが生き残る「半導体戦争」で、どのように対応するという国家戦略は与野党総選挙戦略のどこにも見当たらない。半導体事業所で働く20代や30代の票を狙って、大企業の役員出身をあたふたと迎え入れ、戦略公認することと、グローバルサプライチェーンの再編で韓国の生きる道を真剣に模索することは全く別の問題だ。日本を抜いたサムスン、サムスンを引き離したTSMC…結論は歩留まり競争 歩留まり(收率)は半導体産業で最も重要とされる指標である。全体に占める正常な製品の割合である歩留まりが高いということは、不良品が少ないという意味だ。例えば、歩留まり60%は半導体100個を作った場合、40個を捨てることを示す。歩留まりが高いほど多くの利益が得られ、企業に対する信頼も高まる。半導体業界関係者は「オランダASMLの最先端設備を先を争って購入するのも、より精密に回路を刻むことができ、不良品が出る確率を低くするためだ。歩留まりは半導体設計、最先端設備、工程の最適化、企業のノウハウなどが総合的に調和した結果だ」と話した。 歩留まりは米国、日本から韓国、台湾に移動した世界の半導体覇権競争で重要な役割を果たした。米国は1971年、インテルがメモリー半導体DRAMを初めて量産し、半導体産業の歴史を作ったが、1973年のオイルショック以降、設備投資が大幅に減った。その間に日本の富士通、三菱電機、NEC、東芝、日立などが政府の支援を受け、技術開発に攻撃的に投資し、歩留まりを大きく引き上げ、生産コストを大幅に引き下げることで米国を抜いた。1987年には日本のメモリー半導体市場シェアが80%を超えた。しかし、韓国が日本の歩留まりに対する過度な執着に食い込んだ。1位に安住した日本企業は90%台半ばから後半の歩留まりをさらに引き上げるため、品質検査に巨額のコストをかけ、高品質半導体というイメージを維持することだけに没頭した。一方、サムスン電子は歩留まりを高め、市場に必要な半導体を低価格で供給すると同時に、次世代の製造プロセス開発に集中投資した。最先端半導体を先に開発した方が勝者になるという判断だった。その結果、技術主導権を握ったサムスン電子は「超格差戦略」を実現し、世界1位のメモリー半導体企業となり、日本のDRAM業者は全て没落した。 半導体業界は現在、台湾積体電路製造(TSMC)とサムスン電子の半導体ファウンドリー(受託生産)分野のシェアの差も、歩留まりのためだとみている。市場調査会社トレンドフォースによると、昨年第3四半期のファウンドリー市場シェアはTSMCが57.9%、サムスン電子12.4%だ。 半導体業界によると、TSMCによる最先端の3ナノメートル製造プロセスの歩留まりは、サムスン電子を10ポイント以上リードしているという。半導体業界関係者は「サムスン電子は歩留まりさえ高められれば、逆転の機会があるという意味だ」と話した。李海仁(イ・ヘイン)記者、パク・チミン記者朝鮮日報/記事入力 : 2024/03/02 13:05韓国の個人投資家 日本の半導体株に投資した人は笑い、円に投資した人は泣く 「日本旅行に行ったら、景気が良さそうに見えたので、購入したのだが、3カ月もたたないうちに収益率が46%に達しました」 会社員Lさんは最近、自分の個人型退職年金(IRP)口座を見るたびに笑みを浮かべる。日本の半導体銘柄に投資する上場投資信託(ETF)に投資した年金500万ウォン(約56万円)が約700万ウォンに増えたからだ。 日本の代表的な株価指数である日経平均が2月22日、バブル期を上回る過去最高値を更新し、その後も上昇傾向を続けている。それを受け、韓国では日本の株式市場への投資需要が増えている。韓国で上場された日本関連ETF12銘柄の純資産は年初時点で約5020億ウォンだったが、2カ月もたたないうちに26日時点で7038億ウォンに増えた。 日本株には、韓国とは異なり、最低売買単位(通常100株)があり、個人投資家が小額で投資するには不便だ。そのため、日本の株式市場に投資する際、韓国の投資家は投資口当たりの価格が低く、小額投資が可能なETFを探すことになる。これまで日本の株価指数や半導体銘柄に投資した韓国の個人投資家は利益を上げているが、円に投資した投資家は損益がマイナスだ。■指数レバレッジ商品の収益率86% ファンド評価会社のFNガイドによると、日本の半導体に投資する韓国のETFは年初来で16~21%の収益率を上げている。これらETFは2月10日までは年初来の収益率がマイナス1~プラス3%だったが、約1カ月余りで大幅な収益を上げることに成功した。その間に人工知能(AI)用半導体メーカーである米エヌビディアの株価が45%も上昇し、業績も好調だったことから、スクリーンホールディングス、アドバンテスト、ディスコ、東京エレクトロンなど日本の半導体企業の株価も同時に上昇基調に乗った。 半導体企業を中心に上昇傾向を見せる日本株が連日過去最高値を更新し、TOPIXや日経平均などの株価指数で収益が決まるETFも年初来2桁台の収益率を上げている。TOPIXの収益率の2倍の値動きをするように設計された「ACE日本トピックスレバレッジ」は1年間の収益率が86%に達した。■円を買った投資家は涙 しかし、記録的円安が続く中、円高に転じることを期待した個人投資家の表情は暗い。円相場は年初時点で1ドル=140円近いの水準だったが、直近では150円台まで下落した 昨年末に発売されたETF「KBSTAR米国債30年円エクスポージャー」は、26日時点の純資産が1177億ウォンで、韓国で上場されている日本関連ETF12銘柄の純資産全体の17%を占める。年内に米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を引き下げた際の米国債上昇と円高を同時に狙う投資需要が集中した。しかし、米国の利下げ期待が下火になり、年初来の収益率は約マイナス10%を記録している。「TIGER日本円先物」ETFも1年間の収益率がマイナス10%前後だ。 円安が進み、日本株に投資するETFの中でも為替変動に左右される「TIGER日本日経225」の収益率は年初来13%台だが、為替ヘッジ商品である「ACE日本日経225」は同じ期間の収益率が17%で差が生じている。■「製造業・消費財・金融」も注目 専門家は「円高が進むと、為替差益は生じるかもしれないが、円安で好業績を上げてきた日本企業が低迷し、株価下落につながりかねないことに留意すべきだ」と主張する。韓国投資信託運用ETFコンサルティング担当のキム・スンヒョン氏は「年内に円高に急速に転換するかはまだ確信できない」としながらも、「円高に転じると、輸出企業を多く含む日本の株価指数は下落する恐れがある」と指摘した。 韓国で上場された日本株ETFは、まだ投資対象が株価指数や半導体部門に限られている。世界的な資産運用会社フランクリン・テンプルトンのファーディナンド・チュク上級副社長は本紙との書面によるインタビューに対し、「日本の株式市場は非常に多彩な銘柄を選択できる。製造業、消費財、金融部門も注目に値する」と述べた。柳素娟(ユ・ソヨン)記者朝鮮日報/記事入力 : 2024/03/01 11:25