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カテゴリ:たわごと・仕事・愚痴
会社から帰宅のハイウェイ。
相変わらずオイラ以外のドライバーは制限時速10-15マイルオーバーでオイラの車をビュンビュン抜いていく。 後方を走るドライバーはみなオイラのカナダのナンバー・プレートを見て「…これだからカナダ人は…いつもトロトロ走りやがって…」と思っているに違いない。 しかしときどき、オイラ以外の車もみんな制限時速で走っていて驚くことがある。そう、パトカーが近くを走っているのに気づいて、制限時速以下にスピードを落としている時である。これはみんなやっぱり「悪いコト」をしている意識を持ちつつ15マイルオーバーで走っているのだなあ、と気づく瞬間でもある。ごくたまーに、パトカーを見てもスピードを落とさないバカあるいはチャレンジャーもいることはいるが(笑)、だいたいみんなセコイ「バレなきゃイイ」派の小市民であるらしい。 オイラはこの「自分以外みんながスピードを落とす」のを見るたびに、パパがオイラにコドモの頃からまるで遺言のように繰り返し言っていたセリフを思い出す。「ウラ・オモテのある人間になってはいけない。」 ケーサツの車が走っていようがいまいが常に一定のスピードで走るオイラは、パパに言われたことを38歳になっても実践しているバカ正直モノなのである。 考えて見ると、パパのこの言いつけを真に受けて成長する過程で、オイラはいろいろと苦労をしてきたと思う。たとえば中学時代は、クラスメートが陰でコソコソ言っているような教師の欠点や悪口をその教師に対して堂々と挙手して真っ向から指摘した結果、テストではオイラ以上に成績のいいヤツはいなかったハズが5段階評定で4をもらったことがあった。部活動が停止になったのも、「用務員」とか「保健の先生」ではなく校長じきじきに喫煙を見つかったからだ。 高校や大学時代も「裏オモテがあってはいけない」からと率直な言動や行動をとったために殴り合いになったり孤独になったりしたこともあったなあ。…いや、学生時代に限らず、「裏オモテ」をわきまえないために、知人や友人の「裏」に当たる話を(それと知らず)彼らのガールフレンドや妻の前で披瀝して絶交されかけたことが何回かある(笑)。 社会人になってからも、「忌憚なき意見」を求められたり「力ワザ」を必要とされる状況で積極的に起用されたり、「雨降って地かたまる」ような場面で雨を降らすためにしばしば重宝される一方、顧客や外部に直接的に接するような状況を極力避けた配置が与えられてきたのはオイラの「裏オモテのなさ」の宿命なのだろう(笑)。 …しかしだな、こうして考えると「オトナになる」というのは言い換えれば「ウラとオモテをわきまえる」、「パトカーがそばを走っている時とそうでないときを区別する」ことにほかならず、パパがオイラに「裏オモテがあってはいけない」と言っていたのは「オトナにはなるな」というメッセージを含んでいたことにほかならないだろうか。 もしかして、オイラのパパは「ウラ・オモテのない人間」になろうとして挫折した大多数のオトナのひとりであり、「ウラ・オモテのある人間になってはいけない」というセリフは「ムリを承知でコドモに託してみた希望」だったのだろうか? いつも制限速度を20キロくらいヘーキでオーバーしていたパパ、「周りに迷惑がられるドライバー」に成長したオイラのことを、誇りに思っておられますよねもちろん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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