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カテゴリ:今日の出来事
毎朝の日課であるジョギングの後半、代々木公園の南門のそばを通り掛かった時、警察官らしき人たちがイエローテープを張った中で作業をしていた。走り過ぎる際にチラッと見たら、鑑識らしき人が木から指紋採取をしており、何の事件かと思ってさらによく見ると、木から垂れた紐の先に膝をつく姿勢で縊死している男性の姿があった。どうやら自殺である。そういえばさっき代々木公園に向かう陸橋の上から救急車とパトカーが駐車されているのを見て何事かと訝しがったのを思い出した。これだったのか。 60代後半といった風情の男性だ。公園のこの辺にはホームレスの人たちがテント生活をしているのだが、年の頃や風体がその人たちと重なることから、その1人である可能性もある。 顔色は土色で、苦しそうな表情ではなかった。夜の間に独りここに来てやったのだろう。背の低い木の目の高さくらいの枝に紐をかけて、足が地面に付く高さで、脚を前に投げ出して腰を折り、沈む姿勢で首を吊ったようだ。 それにしても、公園の奥深い森の中ではなく、公園入口のそばを選んだのはどういうことだろう。夜とは言え、通りがかった人に気づかれてもおかしくない。サンフランシスコの金門橋から投身自殺する人の圧倒的多数は、海側ではなく街の側を向いて飛び降りるらしいが、この人も未練があったのだろうか。 と言うか、仮に夜に公園の門の近くで誰かが暗がりで木に紐を掛けているらしきところを見かけた人がいたとして、面倒なことに巻き込まれたくないとか、気味が悪いとか思ってその場を見て見ぬ振りをして通り過ぎたかも知れない。 そうでなかったとしても、公園の門の近くで、自分に気づきもせずに通り過ぎていく通行人の声や物音を聞きながら首吊りで意識が遠のいていくのは、それはそれで悲しい死に方ではないか。 人それぞれ計り知れないいろいろな個人的事情があるので、一概に自殺を否定することは出来ない。私は走りながら そんなことを考え、とりあえずRest in peace を祈った。 この人も、早朝に公園を散歩なりジョギングをしていた第一発見者にトラウマを植え付けたり、たまたまそばを通り掛かった人を一日中陰鬱な気持ちで過ごさせる程度の迷惑は掛けても、飛び降り自殺や飛び込み自殺のように他人を巻き込んだり後始末に手間暇を掛けさせないようなやり方でヒッソリとこの世を去ったという点で、哀しいけどきれいな退け際だと言えなくもない。 トラウマという点でいえば、五体が繋がっているだけでなく、同じ縊死でも地に脚が着いた状態でブラブラせずの死んでいるのは、ビジュアル的には練炭自殺や睡眠薬自殺のたぐいに次いでそれを見る人のショックが小さいのではなかろうか。私のアメリカの大学時代からの友人は数年前にやはり首吊り自殺しているが、天井からぶら下がっている彼をを発見したガールフレンドのショックを思って不憫に思ったことを覚えている。ぶら下がった屍体は良くない。
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