松宮孝明『刑法各論講義』(成文堂,第5版,2018年)
西田典之(橋爪隆補訂)『刑法各論』(弘文堂、第7版、2018年)と比較してみる。頁数は、前掲・西田各論よりやや少ないが、文章は柔らかく、前掲・西田各論よりも言葉を尽くして説明しようとするところがある。前掲・西田各論よりも、更に進んだ議論を展開しており、論争的で、難易度はやや高い。アカデミックな講義で、アカデミックに使用されてこそ、真価を発揮する本だと思う(逆に言うと、講義で教科書指定されていないにもかかわらず、独自に本書を選んで勉強を進めるのは、学習段階によってはかなり辛いかもしれない)。なお、著者は、必ずしも独自の見解を採用してばかりというわけではない。前掲・西田各論と同じく、条文を逐一紹介してくれるのが嬉しい。法学部はもとより法科大学院でも、本書を基本書にしている学生は、少なくとも私の周りでは一人も見かけなかったが、関西では状況が異なるのであろうか。