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March 21, 2013
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カテゴリ:体験談

妻との約束

裕福な家庭ではなかった。中学生のころ、同級生は手弁当を広げていたが、平山さんは「家で食べる」と、教室を抜け出した。帰宅するふりをして、校庭の水道水をたらふく飲んで、空腹をしのいだことも一度や二度ではない。

「ええか。悔しいと思うが、辛抱しろよ」。男子部の先輩が励ましたくれた。そして、池田名誉会長が入会直後に詠んだ「希望に燃えて」の詩の一節を知った。

「希望に燃えて 怒涛に向かい/たとい貧しき 身なりとも/人が笑おが あざけよが/じっとこらえて今に見ろ」

そんな男になりたくて、太陽に背を向けず、真っすぐに生きてきた。

この震災でも、唇をかんで、口にした。「じっとこらえて今に見ろ」。悲しみを笑顔でねじ伏せ、古里のため、同志のために駆け回る。

そんな平山さんを、一人の老婦人がじっと見ていた。昨年1月。座談会で平山さんの心を知った老婦人は、自ら進んで入会した。

    ◇

退職の日を迎えた。昨年3月。友人たちが、「ハッピーリタイアを祝う会」を開いてくれた。約40人の来賓。カラオケを歌ったことがない、すし店の大将が「平山のために」と、マイクを握った。電気店の主人は、安来節を踊って、盛り上げた。

平山さんは、テーブルを回ってあいさつした。「おめでとう」とは、言われなかった。誰もが、平山さんの心を知っている。「お疲れさん」と、肩をたたいてくれた。友の気遣いが、心に染みる。

妻が隣にいれば......。そんな思いが何度もよぎったが、「どこかで見守ってるはずだ」と思えば、涙をこらえられた。

同僚から、感謝の寄せ書きを手渡された。ある部下は書いた。〈あなたがいたから、男になれました〉

 

【あしたへ 東日本大震災から2年】聖教新聞2013.3.7

(つづく)






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Last updated  April 16, 2019 06:32:31 AM
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