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カテゴリ:暮らしのアンテナ
■理想を持つこと、理想を示してくれる存在が必要なわけですね。
そうです。でも、この三つの「自己対象」を持つことは若い人だけでなく、高齢者の問題でもあるのです。 自己というのは一生涯、エネルギーを必要とします。高齢者の多くは、この三つ(「鏡自己対象」「理想化自己対象」「双子自己対象」)がなくなる傾向が強いのです。 例えば、男性の多くは定年退職して肩書きがなくなると元気がなくなります。青年期のような理想がなくなり、友人・知人も亡くなっていく。自分の身体機能も低下していく……。そういう中で、自己が必要とするエネルギーをどのように育んだらいいのか。特に高齢者の中でも、問題は孤立しやすい男性です。 男性の場合には、長い間仕事をしてきた経験や知恵を生かした新しい目標を持つことや、周囲とコミュニケーションをとるための「雑談力」を高めたほうがいいと思います。「雑談」の中から仲間(双子自己対象)も生まれてきてきますし、「鏡自己対象」「理想化自己対象」に巡り合うこともできます。 誰とでも気軽に「雑談」ができる。これは高齢者だけでなく、若い人にも必要なことではないかと思います。女性が元気なのは雑談の名手だからです。 「雑談」を弾ませるこつは「質問」です。質問して、相手の話をよく「聴く」。この繰り返しです。話し上手は聴き上手。そして聴き上手は「質問上手」な人なのです。 なかしま・しゅんすけ 1950年、佐賀県生まれ。会社員、小学校教員などを経て、現職。学術博士。対話学、人間関係のセミナーで講師として活躍中。著書に『心と健康』『こころと人間』(いずれもナカニシヤ出版)ほか。 【文化】聖教新聞2015.3.25 (おわり) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 5, 2015 07:31:53 AM
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