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February 1, 2017
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カテゴリ:コラム

ジャーナリスト  尾林 賢治

 

英国のメイ首相は17日、欧州連合(EU)からの完全離脱を表明した。人、モノ、サービス、資本の「四つの移動の自由」を原則とするEUの「単一市場」への残留を見送る「ハード・ブレグジット(強硬な離脱)」の選択だ。EUとは新たな貿易協定を結ぶことをめざし、移民を独自に強制できることを最優先する。メイ首相は当初、EUの単一市場にとどまりながら、独自の移民政策を実現できる「ソフト・ブレグジット(穏健な離脱)」路線を模索した。しかし、「いいとこ取り」は許さないとEU域内の反発が強まり、苦渋の選択を強いられた。

 

早速、EUや単一市場への残留を強く求めてきたスコットランド民族党のスタージョン党首は強く不満を表明、英国からの独立を問う住民投票の再実施の可能性が高まったと述べた。北アイルランドの民族主義政党、シンフェイン党は、EU加盟国のアイルランド共和国との統合を問う住民投票実施に動きを始めいている。

 

ロンドンのカーン市長は「英国を破壊しかねない」と非難する。国際金融都市ロンドンを中心に、英国には80カ国の外国金融機関と1400の金融サービス業が集まる。金融・関連サービス業は218万人の雇用を生み、国内総生産(GDP)の12%を稼ぐ英国の基幹産業だ。

EUには加盟国のどこかで金融業の免許を取れば、域内全域で営業できる「シングル・パスポート」制度がある。単一市場からの離脱で、英国に拠点を置く金融機関は新たに免許を取得しなければならなくなる。ロンドンからパリ、フランクフルトにと、金融機関の大量脱出が始まりそうだ。EUとの貿易に関税がかかれば英国に立地する製造業も大打撃だ。

 

メイ首相はEUとの包括的な貿易協定を結ぶので、心配は無用だという。3月末までにEUに離脱を正式通告、その後原則2年間で離脱しなければならない。加えて新たな貿易協定を結ぶ交渉には数年かかかる見通しだ。この間の混乱を乗り越えられるのだろうか。

 

 

【経済ウオーキング】公明新聞2017.1.22






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Last updated  February 1, 2017 05:35:49 AM
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