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July 27, 2020
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アフターコロナ 改革と国際協調

立命館アジア太平洋大学(APU)  出口 治明学長に聞く

 

パンデミック社会の変革が加速

14世紀ペストなど歴史示す

――パンデミック後にはこれまで、どのような変革が起きたか。

出口治明学長 14世紀のペストが一番わかりやすい。当時、人々は神様に十分祈らなかったから、神が罰を下したのだと考え、皆が信心深くなった。それでも多くの人が死んでいった。教会に行っても事態は治まらず、人々は今までの宗教に懐疑的になる。当時のローマ教皇がぜいたくをしていたこともあり、最終的に宗教改革が起きた。

祈っても効果がなく神様は当てにならない。「自分たちで何とかしよう」という考えが、ルネサンスにつながった。宗教改革もルネサンスも全世界に広がった。タイムラグ(時間差)を置いて、グローバリゼーションが加速した。

二つ目は、「コロンブス交換」だ。コロンブスがアメリカ大陸に到達してから、新大陸と欧州との間で作物や家畜などの往来が生じた。以前まで、欧州になかったトウモロコシやジャガイモなどが運び込まれるなどグローバル化が広まり、食文化などに大きな影響を与えた。一方で、天然痘やはしかといった感染症も移動し、免疫のないアメリカ先住民が死に絶えた。たくさん死人が出たところには普通は気味が悪くて、行きたくない。だが、グローバリゼーションは止まらず、実際には大陸間の移動がさらに活発になった。

三つ目はスペイン風邪。1918年から19年にかけて世界中で流行し、第1次世界大戦を終わらせた。大量の感染死亡者を出し、大戦の終結につながった。結果的に国際連盟ができ、国際協調を促した。

歴史はジグザグに動いているが、パンデミックは全てグローバリゼーションを加速させている。今回も長い目で見れば、そうなるだろう。

 

感染症、新時代を築く転機

リーダーとメディア論点明確に

 

――コロナによるパンデミック後の社会をどう見るか。

出口 感染が拡大してる時は大変だが、新しい時代が切り開かれることになるはずだ。今回のコロナ禍を機に、ITリテラシー(ITを有効活用する能力)は向上している。社会のデジタル化が進んだのだ。以前まで僕はオンライン会議をしたことがなかったが、うまくいけば、このことが生産性の向上につながる可能性がある。

オンラインで行うテレワークは、部下だけではなく上司の仕事ぶりや能力も見えるようになる。上司は部下に対し的確に業務を分けないと仕事が進まない。俗にいう年功主義から成果主義、実力主義に変わっていく。

改革につながるデジタル化(必要条件)を成功へと導くカギは、その方向性を示すリーダーやオピニオンを主導するメディアが握っている。必要条件と十分要件がそろえば改革は成り立つ。パンデミックというピンチはチャンスにもなる。

そのためにもリーダーやメディアは論点を明確にする必要がある。一時期、ITリテラシーが上がっても、皆が、「やっぱり職場で働こう」と元に戻ってしまえば生産性の向上には結びつかない。

リーダーは、今やるべき事と後でやるべき事を時間軸で分けて考えなくてはならない。「ウイズコロナ」と「アフターコロナ」では、なすべきことは全く違う。

 

――コロナ禍ではグローバリゼーションは後退するか。

出口 グローバリゼーションの動きは止まらない。近代の豊かな生活は、化石燃料、金属、ゴムという三つの資源の上に成り立っている。これらは産業革命の3要素ともいわれているが、三つの資源は偏在している。日本や独、仏のような資源がない国は、これからも、他国と仲良くやっていく以外にはない。多くの国は交易を行うことで、豊かになる。どの国も生活水準を下げたいとは考えていないはずだ。

 

自国中心主義「持たず」

 

――コロナ禍で、自国中心主義が台頭している。

出口 自国中心主義では持たない。未曾有の国難を抱える非常時でも一定程度、国際社会が平静なのは、グローバリゼーションのおかげなのだ。コロナ禍で世界経済はリーマンショックの比ではないぐらい落ち込み、戦後最大の危機だ。だが、なぜ日経平均株価が2万円台なのか。1万円ぐらい下がってもおかしくない。これは、コロナ禍であっても世界の中央銀行が連携して市場を守ろうと協調しているからだ。

 

――今後、国家間の関係性はどうあるべきか。

出口 仲良くするに越したことはない。けんかをすれば、皆が貧しくなる。新型コロナウイルスの発生源を巡り、トランプ大統領が中国を批判するなど、特に米中関係を危惧する声はあるが、それほど心配することはない。お互いは経済的にがっちり組んでいるからだ。中国から米国へ留学している学生は37万人もいる。米国に渡った中国の若者がベンチャー企業を立ち上げるなど交流も深い。今回われわれがお世話になっているオンライン会議システムがまさにそうだ。

米国のマティス前国防長官は、大統領は国民を統合させる役割はあるが、トランプ大統領は分断の身を煽って統合のふりさえ見せないと指摘している。こうした大統領は見たことがなく、米国は彼がいなくても統合できると言い切っている。米国の国益と、「自らの再選にしか興味のない」(米国のボルトン前大統領補佐官)トランプ大統領の特異な個性とは、分けて考えた方がいい。

 

世界情勢、ファクトで見極めるべき

ハリス・ロスリングらの著書『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(日経BP社)を読むと、世界が良くなっていることが分かる。世界は決して分断によって悪くなっているわけではなく、統合に向かっているという真実(ファクト)がたくさん集まった本だ。例えば同書では、世界の75%の人が中所得の国に住んでいるとある。高所得国と低所得国との間に分断があるわけではない。

一部メディアは米中の対立や中国が沖縄に攻めて恋うるなどと書きたてるが、そんなことはない。戦後、中国は米国という虎の尾を踏んだことは一度もない。

世界情勢はファクトで見るべきだ。陰謀論や想像でなじってはいけない。

 

 

【土用特集】公明新聞2020.7.25






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Last updated  July 27, 2020 11:27:08 AM
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