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カテゴリ:新型コロナウイルス
コロナ禍 ドイツは今 作家 六車いちか ドイツ国内で初めて新型コロナウイルスへの感染が確認されたのは1月27日。それはバイエルン州の小さな町での出来事で、首都ベルリンに上陸したのはそれから、ひと月以上経ってから。そのころには各地に広がりを見せ、3月10日にはドイツで初の死者が発生した。この時点で確認された感染者は全国で1884人。直ちに政府による対策が講じられた。 それは大変厳しい内容で、翌11日には劇場でのあらゆる公演がいきなり上演禁止になり。2日後には全国の映画館も一斉休館。そしてイベントも見本市も人の集まるものはすべて中止に。また食料品店や薬局などを除いて、一般商店やアパートやモール、そしてカフェやレストランなど飲食業もすべて営業停止となった。市民には不要不急の外出の自粛が求められ、食料の買い出しや息抜きのための散歩は許されたものの、社会的距離の順守が要請され、屋内外問わず同居家族以外との面会は禁止、老人ホームや病院の見舞いも禁止に。 突然の措置に市民の動揺も大きかったが、ドイツ国内の感染状況が初期段階から細かく伝えられていたことや、イタリアでの未曽有の惨事が報じられていたことで、市民の覚悟も早かった。そして3月18日に行われたメルケル首相による会見は、国民の心を大きく支えた。氏は、人々の不安や悲しみに寄り添いつつ、経済の支援や食品などの物流の確保、医療体制の整備を確約した。
感染防止に強力な対策 赤字補填など直ちに実施
実際に補償は速やかに行われた。それは職種によって多種多様に用意され、例えば自営や小規模企業には当座の赤字補填として最大9000ユーロ(現在のレートで112万5000円)、従業員10人未満の企業に対しては最大1万5000ユーロ(同187万5000円)を補填し、従業員数10人以上の企業に対しては特別融資を、また、従業員の時短勤務を選ばざるを得ない企業にも補填制度を設け、自宅やオフィスの家賃や経費の支払いの滞納が許されるよう民法の改定も行った。 2か月後、感染はある程度抑えられ、規制は徐々に解除されていった。 けれども社会的距離を開けての再開は多くの客席を奪い、また市民も慎重になり、どの業界においても経営不振は深刻なものだ。政府はその打開策として消費税減税にも踏み切った。19%に指定されている一般商品は16%と僅かだが、飲食店での食事は5%までに引き下げた。 そして今、ドイツは第二派の到来を恐れている。海外旅行が大好きな国柄。夏のバカンスの終わりに合わせ、危険指定国から寄託者へのPCR検査が義務化された。 コロナの時代の始まりに、メルケル首相が、またシュタインマイヤー大統領が、「コロナの後の世界は、これまでとは違う世界になるだろう」と明言した。その言葉を疑う者はもういない。コロナと共に生きながら、これ以上破滅に向かってしまわないよう、ワクチンの早期完成を切望している。 (ろくそう・いちか=ドイツ在住)
【文化】公明新聞2020.8.14 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 16, 2020 02:57:37 AM
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