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December 30, 2020
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新型ウイルスの拡大に思う㊤

麻布大学名誉教授  鈴木 潤さん

新が他コロナウイルスの感染拡大で世界に不安が広がる中で、私たちには何ができるのか――。細菌感染症が専門で、麻布大学名誉教授の鈴木潤さん(副学術部長)からの寄稿を紹介する。

 

新が他コロナウイルスの感染拡大はパンデミック(世界的流行)と認められると、WHO(世界保健機構)が発表した。一日も早い終息を祈るばかりである。

歴史を振り返れば、感染症は〝人、モノの拡大〟に伴って広がってきたことが分かる。インドが起源と見られる天然痘は58世紀にシルクロードをたどって東西に波及し、奈良の都では藤原一族ら、多くの死者が出た。この天然痘は、16世紀にはアメリカ大陸に持ち込まれ、メキシコにあったアステカ王国とペルーにあったインカ帝国が滅亡。さらに19世紀から20世紀にかけ、インドを起源とするこれらは中東、アフリカ、そして日本の含むアジア諸国などに広がった。

また、生物学的には、さまざまな発生説があるが、感染症が発生する背景には「戦争」や「人心の荒廃」があるということは否めない。

中央アジア瀬発生したと感和えられているペストが猛威をふるい、欧州での死者が人口の3分の1にも達したと推定される14世紀頃には、イギリスとフランスの間で百年戦争があった。世界の6億人が感染し、2000万人以上の死者(日本でも38万人以上が死亡)が出たスペインかぜは、第1次世界大戦中に起った。

そして現代に見られるグローバリゼーション、環境破壊による地球温暖化……。そうした中、今世紀に入ってからは、2002年にSARS(重症急性呼吸器症候群)、そして今回の新が他コロナウイルスのパンデミックが起こっている。

しかし、これまで、人類はそうした局面でも、たくましい知恵で感染症に立ち向かい、乗り越えてきた。

例えば、人類最大の感染症といわれたスペイン風邪では、猛威を免れた村もあった。この村の教師が〝わが村からは一人も罹患者を出さない〟との心で立ち上がり、持てる知識を使って拡大を防ぐ方法を全住民に強く訴え、村独自の検疫体制を敷いたからである。

そもそも、感染症の拡大を防ぐには、次の三つの視点が重要である。

一つ目は、体内にウイルスを入れないこと。それには、入念な手洗いや消毒などが必要となる。

二つ目は、ウイルスが身体の中に侵入しても体内の免疫力で排除すること。そのための方法として風呂に入って体を温めたり、適度な運動や睡眠、バランスの良い食事などを心掛けたりすることが大切である。これらは免疫細胞をつくる上で重要だと知られている。

そして三つ目は、免疫抗体を獲得すること。これはウイルスを排除する上で、最も大事である。だからこそ現在、ワクチンの開発や抗ウイルス剤の開発研究に、世界中の研究者が取り組んでいる。

そう考えれば、私たちにとって重要なのは一つ目と二つ目の観点なのである。

ここで、病原体の特徴である生育速度について考えてみたい。

病原体が細菌である場合、1個が分裂を起して2個になる時間は15分から30分である。この間隔を「世代」と言うが、この速度で分裂を繰り返すと、24816と増えていき、一晩で1個が数十億個にもなる。病原体の生育は、対数増殖だからである。

故に、感染症拡大においては、いかに「1個の病原体を抑え込むか」「一人に抑え込むか」という視点が大切になる。自分だけ助かっても、誰かが感染してしまえば、そこから病原体は増えていく。その意味では対策のなかに「一人だけ助かれば良い」ではなく、手洗いなどの予防の基本を人々に伝える、必要な人にマスクを届けるといった、「皆で助け合おう」との「共助」や「利他」の哲学が必要なのではないだろうか。

日蓮大聖人が「立正安国論」を執筆された時も「転変地夭・飢饉疫癘・遍く天下に満ち」(御書17㌻)と仰せのとおり、疫病が蔓延していた。当時の状況は鎌倉時代の記録『吾妻鏡』などに記載があり、疫病は天然痘や赤痢、そして三日病などといわれているが、この「三日病」について、日本医史に詳しい中村昭氏は。3日間熱が下がらないという症状から、  〝インフルエンザではないか〟と指摘する。

そうした中にあって、大聖人が「汝須く一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を禱らん者か」(同31㌻)と記された意味の重要性を、私は感じてならない。

スペイン風邪を防いだ村のように、「共助」や「利他」の心が脈打つ社会を築く。ここに創価学会の使命もあるのではないだろうか。(つづく)

 

 

【学術部から寄稿】聖教新聞2020.3.26

 






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Last updated  December 30, 2020 03:10:14 AM
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