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December 10, 2022
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カテゴリ:暮らしのアンテナ

世界のことわざ

日本ことわざ文化学会副会長  時田 昌瑞さん

時間、空間を超えて言葉を味わう

空が落ちてきたら皆に青い帽子ができる オランダ ベルギー

計な心配はせず気を大きく持っていようという意味。

青空が落ちても、すべての人が青い帽子をかぶることになるだけ、という超楽観的で、とてつもなくスケールの大きな言い回し。しかも、青空を青い帽子に見立て、奇抜ながらも、しゃれた表現に仕上げた秀逸さがある。

対局は『杞憂』だろう。中国の故事で、紀の国に、天が落ち、地が崩れ、自分の居場所が無くなったらどうしようと心配し、夜も眠れず、食事もできなくなった人がいたとの寓話に基づいている。必要もないことに気に病むことを意味する。これは楽しくないからやめた方がいい。

 

狼の両の耳をつかむ フランス

動きできないことや、どうにもやりくりできないこと。日本の「にっちもさっちもいかぬ」に相当する。

私の調べでは、「窮地に追い込まれる」「不幸が続く」という趣旨のことわざの類語が最も多い。「このスープを飲まないのなら、この窓から飛び降りろ」(イタリア)など、世界に130ほどある。

不幸は感じやすいのか? それとも、不幸はどこにあっても当然と、それを乗り越える生き方のモチベーションにしているのか? 人や時代によって、ことわざの捉え方もさまざま。

 

 

八方美人 韓国

国で「八方美人」は、「何でもできる人」という意味で使われる。日本では「周りのあらゆる人びとに対していい顔をすること」で、批判や避難の意味合いが込められていて反対になる。

中国には、近い言葉で「八面玲瓏」がある。八面玲瓏は、「誰とも円満に折り合える人」を指し、日本語の八方美人のようなマイナスのイメージはない。韓国の八方美人は、中国の八面玲瓏に非常に近い。

ちなみに日本の八方美人と同じような意味で、フランスでは「ヤギとキャベツの両方に気づかう」がある。

 

 

盗みを働くヤギを他のヤギの傍らに繋げば、みんな盗むようになる ウガンダ チガ語

棒と交わると、いつしか自分迄泥棒になってしまうというたとえ。

もちろん、泥棒と付き合ったからといって、皆がなるわけではないが、人は環境に大きく影響される。

このことわざは、アフリカのウガンダに住む文字を持たない部族の言語「チガ語」のもの。旧知の言語学者に、アフリカのことわざ調査を依頼して見つけることができた。2020年、私が監修した『世界ことわざ比較事典』(岩波書店)で世界初公開した。

世界にはまだまだ知られざることわざが眠っている。

 

 

オーロラは美しく舞い遊ぶのに、暖めてはくれない シベリア ネネツ族

空の神秘と呼ばれるオーロラ。一度は見たいと憧れる日本人も多いのでは。

確かに天空を移り変わる姿は舞のように美しいけれど、冷えた体は温めてはくれないというのが、地元の人に認識のようだ。ネネツ族はロシア極北地方の先住民。トナカイの民として知られ、狩猟や漁労、トナカイの遊牧を営む。

都会人は雪の銀世界に憧れるが、地元の人にとっては生活の障害物になってしまうのに似ている。オーロラの美をめでながらも、この世の現実に思い至るのだろうか。逆に言えばそれほどにシベリアは、厳しい自然ということだろう。

 

 

虎に翼 中国 韓国

い者がさらに勢いを増すこと。日本の「鬼に金棒」に当たる。

日本では、周知のことわざも、海外では珍しい場合もある。鬼に金棒は、種類の「虎に翼」が東アジアに見られるが、世界では低調。世界の25言語・地域から集めて事典を編集した際も、関連付けられた言語は五つ。

鬼に金棒は『鬼にかなさいぼう』という表記で1400年代に残っている。日本で「虎に翼をつける」は奈良時代から使われていた。

 

 

楽しきはビール、苦しきは旅路 シュメール語

代文明であるメソポタミアのシュメールのことわざ。当時の旅には、軍の遠征や商人の貿易など諸説あるが、苦しいことの象徴だ。ビールは異国に出向くときに支給された。

こんなことわざが4000年以上も前からあったことに驚かされる。粘土板にくさび形文字で、何百という言葉が刻み残されている。

他にも「金持ちになればなるほど見張りの苦労」(金持ち苦労多し)、「貧乏人に力なし」など。不倫に関することわざまである。こういった言葉を見ると、人間は数千年前からあまり変化していないようにも思える。

 

 

 

【暮らしのアンテナ】聖教新聞2021.9.19






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Last updated  December 10, 2022 06:19:04 AM
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