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カテゴリ:心理学
自分を出せば自信がつく たとえ相手に気に入られたとしても、気に入られることで、その人の心の底の不安がなくなるわけではない。 支配―服従の関係にあるものは、基本的にいつも不安である。 どんなに相手に服従しても、「見捨てられる不安」から逃れるわけではない。 カルト集団などの信者が教祖に競って服従する。教祖に対して服従競争をする。 それは服従しても服従しても、不安が消えないからである。 そして、いつも相手が怒るのではないかとビクビクしている。相手の不機嫌が怖い。 その怯えた態度は、心の底の頼りなさがあらわれたものである。 迎合したものは、いつも脅えている。 相手が上司であれ、親であれ、友人であれ、配偶者であれ、恋人であれ同じことである。 いつも相手が不機嫌になるのではないかとビクビクしている。 人は、自分が心理的に依存しているものに脅える。相手の気持ちがどうなるかに脅える。 サルがライオンを怖いと思ったら、ライオンの方は好き勝手なことをする。 怖いと思ったサルは、ライオンを喜ばすことをする。 生きることの中心が相手になってくる。 サルがライオンを好きなら、「サルはこんなことするんだよ」とライオンに言う。 自分が中心になる。同じように、孫がお婆ちゃんを好きなら、孫は勉強でも手伝いでもやる気になる。 もし親が嫌いなら、子供が頑張る動機は不安である。 これは大人になったときにノイローゼになる生き方である。 不思議なもので、相手に気に入られたいと相手に服従することで、逆に相手を心理的に遠い存在にしてしまう。 相手の顔色をうかがうだけで、相手とのコミュニケーションができなくなる。 カレン・ホルナイの言う「迎合」も、エーリック・フロムの言う「服従」も、彼らの言うごとく人を救わない。 人生の課題をなにも解決しない。 しかし、人は見捨てられる不安を持つときに、迎合することで不安から逃れようとする。 そして、見捨てられる不安から、迎合的な態度をとることで、その人の見捨てられる不安はさらに深刻化する。 迎合は人生の課題を解決しない。これはいくら肝に銘じても銘じすぎることはない。 逆に自分を出せば自信もつくし、人からの好意がなくても生きていけると感じられるようになる。
【不安のしずめ方―人生に疲れきる前に読む心理学】加藤諦三著/PHP文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 5, 2023 04:41:57 AM
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