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February 20, 2023
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持続可能な未来を築く21世紀の地球倫理を

インタビュー 米コロンビア大学 ジェフリー・サックス教授

 

歴史の転換点

 

——サンクス教授は、8月の米誌への機構の中で、現在開催中のCOP26を始め、今秋、重要な国際会議が続くことに触れ、〝今年の年末までの各国政府による決断が、私たちの時代で最も重要なものになる〟と主張されました。

 

私たちは今、歴史の転換点ともいうべき決定的な瞬間を生きています。

パリ協定(産業革命以降の平均気温上昇を2度、理想的には1.5度未満に抑えることを目指す国際枠組)をはじめ、生物多様性の保護、SDGsなど、国際社会は極めて重要な目標を掲げています。しかし、各国の協力はまだ不十分で、具体的な行動を起こせてはいません。

国際協力を促進する努力に欠如によって、私たちは非常に危険な世界に足を踏み入れようとしています。水曜な生態系が崩壊し、21世紀から22世紀の間に海面が数メートルも上昇し、飢餓と貧困が拡大する絶望的な世界です。

一方、国際社会が協調して行動すれば、これらの課題をすべて解決することができます。各国が年間生産の僅か23%を国際協力に拠出できれば、将来、甚大な被害をもたらす大災害を低いコストで未然に防ぐことができるのです。それによって、もっと安全で、もっと健康で、もっと持続可能で、もっと公正な地球社会を、私たちは築くことができます。

 

——国際通貨基金(IMF)は、新型コロナウイルスのおパンデミック(世界的大流行)による啓勢的打撃は、先進国よりも途上国の方が大きく、中長期的にも多大な損失を及ぼすと分析しています。昨年からのコロナ危機に対する各国政府の対応を、どうご覧になっていますか。

 

これまでの対応には、主に二つの欠陥があります。

一つ目は、公衆衛生対策が概して不十分であり、最善の措置をとるための国際協力があまりにも弱かった点です。

一般的に、東アジア諸国の対応は、欧米より優れていました。他者への配慮を基盤として文化や慣習が、その要因でしょう。マスクの着用、身体的距離の確保、濃厚接触者の追跡と隔離などの対策が、東アジアでは欧米よりも広く受け入れられました。

欧米では多くの人が、マスクを着用しない、もしくはワクチンを接種しない〝自由〟が自分たちにはあると信じています。これは歪んだ形の〝自由〟です。

二つ目の欠陥は、貧困国への支援があまりにも手薄であるという点です。

貧困国は、富裕国と同じような好条件で資金調達ができません。その結果、経済的困窮と飢餓は、貧困国の方がより深刻になりました。貧困国は十分なワクチンの確保もできていません。生産されたワクチンのほとんどが、裕福な国々によって独占されているからです。

 

人類は同じ惑星の運命共同体

宗教が価値観の変革促す力に

 

遅れるSDGs

 

——コロナ危機は、SDGs達成のための取り組みを大幅に遅らせているとも危惧されています。

 

SDGsはパンデミックの前から、すでに達成までの道筋から外れていました。なぜなら、富裕国が貧困国の支援に注力してこなかったからです。最近は少し変化してきましたが、特にここ数年の米国がそうです。G20(主要20カ国・地域)は至急、貧困国への経済支援を増大させる必要があります。

貧困国では今日においても、大勢の子どもたちが学校に通えていません。多くの人が十分な医療を受けられず、電力やデジタル機器にアクセスできずにいます。こうした問題を解決できる経済力がないからです。

その他の重要なSDGsの目標を達成するために手段もありません。また貧困国は、気候変動による影響を最も強く受けています。その主な原因は、富裕国が大量に排出してきた温室効果ガスなのです。

 

——教授は新著『グローバル化の初時代(仮訳)』で、人類史を七つのグローバル化の時代に区分され、2001年からは「デジタル時代」に突入していると分析しています。

 

人類は「デジタル時代」に入り、かつてない規範でデータを蓄積・伝達・処理できる能力を得ました。コンピューターや家電製品、ロボットなどの機会によって、私たちの生活は便利になりました。人工知能(AI) の分野など、「デジタル時代」の技術は驚くべきスピードで発達しています。余暇の増加、教育・健康・公共のサービスの向上など、新しい繁栄をもたらすという意味では、とてもいいニュースといえます。

一方、「デジタル時代」には大きなリスクもひそんでいます。非熟練労働者の大量失業につながる可能性もありますし、デジタル技術を〝持つ人〟と〝持たない人〟の社会的・経済的な格差が大きくなることも懸念されます。

サイバー攻撃をはじめとする新しい形での戦争、プライバシーの侵害、依存症やメンタルヘルスの問題など、さまざまなリスクが考えられます。これらの一部は、すでに深刻な問題として現れ始めています。

 

――リスクを減らすために何が必要でしょうか

 

「デジタル時代」の恩恵に、正しく、最大限にあずかるためには、各国政府が慎重に対策を考え、国際協力を推進していく必要があります。デジタル技術の軍事転用を防ぐために、新しい軍縮と国際安全保障の条約を結んでいかなくてはなりません。

すべての市民がデジタル技術にアクセスできるようにし、ロボットや人工知能に仕事が奪われる可能性がある人々への社会保障や職業訓練など、効果的な戦略と寛容な社会政策が求められます。いずれも難しい課題であり、解決策はまだ見つかっていません。

 

——教授は同書の冒頭、デジタル時代のグローバル化が進む現代において、「世界平和は実現可能な家。もし可能なら、どのような人間の共通理解・倫理をもとに実現できるのか」という問いを立てています。そして最期に、教授がリードした宗教間対話のプロジェクトで、「黄金のルール」にたどり着いたことを紹介しています。

 

「黄金のルール」とは、世界各地の宗教、文化的先人の知恵が共有する三つの考え方を指します。

一つ目は、自分がしてもらいたいように人に対してすべきことだということ。儒教、キリスト教、ユダヤ教の聖人たちが、この考え方を擁護しています。

二つ目は、世界は富裕層だけのものではなく、すべての人のものであるという考えです。貧しい人々も、健康な人生を送ることのできる物質的な基盤、そしてすべての人に備わる尊厳を認められるべきです。

三つ目は、人間は地球の管理者であって、生物の支配者ではないという考えです。私たちは生物圏の一員であり、モラルや美学、経済的な理由からではなく、自らの生存のために地球を守らなければなりません。生態学や地球システムについて教育を受けていない人が多いため、この教訓はよく理解できていません。

これら三つの「黄金のルール」は、人間の行動の規範、国際協力の倫理的支柱として認識されるべきです。国連の〝モラルの憲章〟とも呼ばれる、1948年の世界人権宣言は、この「黄金のルール」と「貧者の優先」を力強く表現しています。

さらに現代においては、今を生きるすべての人々と将来の世代が、安全で持続可能な環境を享受する権利を加えた、〝21世紀版の世界人権宣言〟が求められています。各国政府、企業、市民社会は、これらの普遍的権利を擁護するために課された、それぞれの義務を認識しなければなりません。

 

 

SGIは平和と国際協力を推進

 

——池田SGI会長は、1993年のハーバード大学での講演で、大乗仏教が21世紀文明に貢献しうる役割を「平和創出の源泉」「人間復権の基熟」「万物共生の大地」と提唱しました。SGIは、大乗仏教の精髄である法華経の万人の平等と生命尊厳の哲理を掲げるFBO(信仰を基盤とした団体)として、世界各地で平和と持続可能な発展のための活動に取り組んでいます。

 

世界平和、国際協力、相互理解を促進するSGIの働きは、巨大な道徳的力を持っています。私たちには、21世紀の地球倫理が必要です。普遍的な人間の尊厳、持続可能な発展、富裕層が果たすべき責任、貧困層と弱い立場におかれた人々への支援を、その基盤にしなければなりません。

私たちの相互依存性と人類共通の運命こそ、新しい地球倫理構築のための最も重要な土台です。全世界の主要な宗教が、私たちの利益と地球を守るために、共通点を見つけられるはずです。

核戦争によって人類が滅亡する寸前にまでに陥った62年の「キューバ危機」の翌年、米国のジョン・F・ケネディ大統領は平和創出のための傑出した努力を重ねました。「キューバ危機」の結果として、ケネディ大統領は、地球に生きる生命の脆弱性、そして人類共通の価値観と展望の必要性を深く認識しました。

有名な636月の演説「平和戦略」で、ケネディ大統領が語った次の言葉は、現代の私たちにとっても、本質を突いたものであると確信します。

「だからこそ、意見の違いから目をそらさず、共通の利益に目を向け、違いを解決できる手段を探しましょう。たとえ今すぐ解決できなくても、少なくとも多様性を受け入れる世界にできるよう、努力しようではありませんか。

つきつめれば、私たちを結びつけている、何よりも基本的な共通のつながりは、誰もがこの小さな惑星に暮らしているということなのです。誰もが同じ空気を吸って生きています。誰もが子どもたちの将来を気にかけています。そして誰もが死すべき運命にあるのです」(ジェフリー・サックス著、櫻井祐子訳『世界を動かす ケネディが求めた平和への道』早川書房)

 

Jeffrey D.Sachs  1954年、米国生まれ。ハーバード大学大学院で博士号(経済学)を取得に、28歳で教授に就任。20年間、同大学に所属し、国際開発センター所長を務めた後、コロンビア大学に移籍し、2002年から16年まで同大学地球研究所所長。歴代の国連事務総長、途上国政府、世界銀行のほか各国際機関のアドバイザーを歴任し、貧困の根絶、気候変動対策、SDGsの策定・推進など、地球規模の問題解決のため尽力してきた。04年、05年にはタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。現在、SDGs達成を目指す研究有機関の世界的ネットワークである国連「持続可能な開発ソリュ―ジョン・ネットワーク」の会長を務める。

 

 

 

【危機の時代を生きる】聖教新聞2021.11.9






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Last updated  February 20, 2023 05:46:56 AM
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