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July 28, 2023
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世界の難民は8400万人

ウクライナの人道活動を打開への糸口に

 

インタビュー 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) カレン・ファルカス駐日代表

 

多岐にわたる援助

――UNHCR1994年からウクライナで活動されています。情勢の深刻化を受けて、どのような取り組みをされていますか。

 

現在ウクライナ国内では116人の職員が支援活動に従事しており、周辺国の事務所と連携しながら対応に当たっています。

国外へ避難した人が360万人を超える一方、さまざまな理由から国内にとどまり避難している人が650万人おり、1200万人が支援を必要とする状況になると推定されています。UNHCRではウクライ国内と周辺国で一時的な避難者の受け入れ場所を設置し、毛布や寝袋、防水シート、食料など、命を守るための支援物資を提供しているほか、トラウマ(心的外傷)を抱えた人へのカウンセリングや国際的な保護を求める人への法的な支援相談等も実施しています。

また、避難してきた人の身元や、各人がどこに避難していきたいかを把握することも私たちの重要な活動の一つです。家族がバラバラに避難している事例も少なくありませんので、各受け入れ場所で身元を確認・照合することで家族の再会を後押ししています。国外を目指す人が多い場合には事前に周辺国の事務所などと連携し、受け入れに向けた備えを呼びかけることもしています。

 

 

――物資に加えて、金銭的な支援も開始されるとのことですね。

 

従来は紛争等で大量の避難者が生まれた場合、いわゆる〝”難民キャンプが設けられ、そこに各国政府や諸団体等から寄付を活用して物資を届けることが一般的でした。しかし近年、都市部へ避難する人が増加し、必ずしもキャンプという形態をとらなくなっており、支援の在り方も変化しています。

避難者が置かれている状況はさまざまで、避難先で親類と暮らしているため生活費はかからないが教育費は不要だが住む場所がなく、住居費が必要になるという人もいる。それぞれ必要とするものは異なっています。

もう一つの理由は、多くの避難者が今まさに〝避難している最中である〟ということです。武力衝突が起きている地域から一刻も早く避難しようという時に、自力で移動しなければならないのに毛布や容器などを持ち運ぶことは大変な負担になります。その点、金銭的な支援は、避難者が必要なものを自ら〝選択する〟ことを可能にし、自立できるという点で「尊厳」を取り戻すことにもつながるのです。

 

 

国際社会の継続的な支援を

教育や言語、健康、就労など幅広く

 

 

子どもを守る

――ウクライナから避難している人の約9割は女性と子ども、高齢者です。

 

今回の人道危機で、多くの人が避難者に寄り添い、親切心をもって支援に応じてくださっています。しかし残念ながら、不安定な状況を利用しようとする人も確かに存在しています。私たちは両方の人間がいることに自覚的でなければなりません。

避難している人々は土地勘もなく、国境を越えれば言葉がわからないことも多くあります。その状況を利用して、手助けを装った誘拐や人身売買、性的搾取が発生することも少なくありません。とりわけ、避難者のなかには身寄りのない子どもが多くいます。さまざまな理由で、どうしても自分は逃げられないけれども、せめて子どもだけは安全な場所にという思いで、親が避難させているのです。

そうした子どもたちが被害に遭わないよう、UNHCRとしても避難者の特定と安全の確保に全力を挙げるとともに、周辺国の政府に対して安全な場所の提供や避難者の保護を働き掛けています。

 

 

――創価学会としても、先日、人道支援の一環としてUNHCRに寄付を行いました。日本各地の市町村などもウクライナからの避難者の受け入れを検討していると報じられています。

 

最も困難なときにこれまでと変わらず手を差し伸べてくださった創価学会の皆さまに、改めて心から感謝申し上げます。

これまで申し上げたような支援を続けることは、幅広い方々からの支えなしには不可能です。政府をはじめ市町村や企業、団体との日本で支援の輪が広がっていることは大変に心強いことであり、連帯が生まれていることに希望を感じます。

残念ながらウクライナの避難者がすぐに元の生活に戻ることは困難な状況にあります。その意味で、現在のような緊急支援のみならず、避難者たちが日常生活を取り戻すことができるよう、教育や言語、健康、就労などの面でも国際社会の幅広い支援が続くよう願っています。

 

 

すべての主体に役割が

――私たちは難民問題にどのように向かい合っていけばよいでしょうか。

 

紛争等で避難を余儀なくされた人は近年、増加する一方で、過去10年で倍となり、昨年6月時点で8400万人を超えてしまいました。難民として生まれた子どもは過去3年間で100万人に上ります。そうした背景を受けて2018年に国連で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト」は、難民問題は特定の地域や政府、国連や政府、国連問題だけでなく、地方自治体や宗教団体を含む市民社会、メディアなど、あらゆる主体にそれぞれの役割があるとうたっています。

一例を挙げれば、創価大学がシリアを含めた難民の学生を受け入れてくださっていることなどは、大変にありがたい取り組みです。

今、難民・避難民が置かれる状況に多くの人が思いを巡らせ、子どものために家を離れ、生活を追われることがどういうことかを身近に感じ、協力しようとしてくださっています。難民問題について身近な人と話したり、日本でも難民が生活していることを学んだりすることを通して、自分にできる行動を起こす輪が広がることを期待したい。今回の危機が、世界の難民問題を打開する萌芽ともなることを願っています。

 

Karen Madeleine Farkas オーストラリア国籍。1982年からUNHCR勤務。スイス本部では監察官、人事管理局長、財務官/財務・総務局長などを歴任。コンゴ民主共和国、イラク、北マケドニア共和国、南アフリカ共和国等で、緊急対応などを担当し、2020年から現職。

 

 

 

【危機の時代を生きる】聖教新聞2022.3.25






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Last updated  July 28, 2023 05:10:50 AM
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