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カテゴリ:心理学
コロナで目立つ依存症オンライン賭博に懸念 パチンコ、パチスロ、競馬――。賭け事がやめられなくなる「ギャンブル依存症」は、借金が重なって家庭を壊すこともあります。新型コロナウイルス感染症の流行後は、オンラインの公営ギャンブルにはまる人も目立つようになりました。国立病院機構久里浜医療センターの松下幸生院長は「自宅や職場でいつでも賭けることができ、お金をいる実感が乏しいのが特徴だ」と指摘。「ギャンブル依存症は適切な治療で回復が期待できる病気。社会全体の意識啓発も必要だ」と話しています。
ギャンブルとの距離感が非常に近い 松下さんらが2020年に実施した国の調査では、18~74歳の2.2%にギャンブル依存症の疑いがありました。単純比較はできませんが、1%に満たないドイツやデンマーク、オランダなどに比べると目立って高いです。人口に当てはめると100万人を超える依存症疑いの人がいることになります。 「あまり意識しないが、繁華街にパチンコ店が立ち並ぶ日本はギャンブルとの距離感が非常に近い」と松下さん。「これが海外との違いに関係するかもしれない」 17年に調査員が対面で実施した国の調査では依存症疑いは0.8%でした。コロナの影響で質問票を輸送し、ネットも活用して答えてもらった今回の調査では、むしろ正直な回答が得られて実体を反映している可能性があります。
重症の人ほど〝認知のゆがみ〟に 20年の調査では7人に1人が「家族や大切な人にギャンブルの問題がある(あった)」と答えました。借金の肩代わりを求められたり、家庭不和や別居につながったりすることもあります。決して人ごとではありません。 松下さんは21年以降、国内のギャンブル依存症の外来を訪れた約180人の経過を追跡しています。7割が20~30代で低年齢化の傾向がみられます。対象はパチンコやパチスロが多いですが、主にオンラインで公営ギャンブルなどをやっている人も3分の1を占めていました。 調べると、のめり込みが強い重症の人ほど、「これだけ負けたんだから次は勝てるはずだ」といったギャンブラー特有の〝認知のゆがみ〟に陥っていました。こうした人は治療が難しくなりがちです。アルコール依存症と異なり、抑うつ症状が長く続く傾向もみられました。
治療には新たな課題も
治療には心理療法の「認知行動療法」を ある勤め人の30代男性は、コロナ流行語にオンラインの公営競馬にはまりました。「もともとはパチンコは好きで小遣いの範囲で楽しんでいたらしい」と松下さん。ところがコロナの緊急事態宣言でパチンコ店が休業し、それがきっかけでオンライン競馬に手を出しました。 会員登録すれば中央競馬だけでなく地方競馬にも賭けることができます。レースが開催される朝から夜まで熱中し、みるみるうちに借金がかさみました。とうとう家族に知られて外来を訪れることになりました。「短い期間で症状が悪化するのがオンライン賭博の依存症の特徴かもしれない」と語ります。 ギャンブル依存症の治療には薬物ではなく心理療法の「認知行動療法」を用います。自分の心が抱える問題を見つめて整理し、それを回避するための対処法を身につけます。決められたプログラムを半年かけて主に通院しながら実施します。 松下さんは「現金を持ち歩かない、ギャンブル以外の趣味を持つなど、まずは行動を変えることで認知の正常化につなげることが多い」と説明します。 ただスマートフォンによるオンライン賭博なら現金を持ち歩く必要はありません。松下さんは「新たなギャンブルの形態に合わせ、従来の治療アプローチを手直しする必要があるかもしれない」と話します。
ギャンブル依存症外来を訪れた人の特徴 ギャンブルの種類 パチンコ |64.9%
パチスロ |57.9
競馬 |34.2
競艇 |19.3
競輪 |14.9
FX |7.9
カジノ |6.4
マージャン |4.0
株取引 |3.5
宝くじ |3.0
オートレース |2.5
その他 |8.0
ギャンブルの方法 主にオフライン 42.1% 主にオンライン 33.5 両方 244.4
【健康PLUS+】聖教新聞2022.8.16 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 10, 2024 06:45:08 AM
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