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カテゴリ:心理学
マーケティングに心理学者が必要な理由 ビジネスの世界で、実験心理学や社会心理学がいちばん応用しやすい分野といったら、まず、マーケティングでしょう。 人はどのように購買活動に向かうのか? ところが、これとて、つねに正しい法則がわかっているわけではありません。全体の7割に好感をもってもらえるような宣伝のしかたがいいのか、あるいは、一部の人だけに猛烈に好きになってもらうように広報していった方が結果として売れるのか。 あるいは、好感をもったからと入ってすぐに購買活動につながるわけではない、そこにはどんな要素が必要なのか、それは値段によってどう違ってくるのか等々。 マーケティングの心理学というのは、多くの場合複合要因も絡んでくるため、ある仮説が必ず正しいとは限らず、簡単ではありません。
ただ、ひとつだけ確実に言えるのは、まずは、仮説を立て、それを実験で検証するという方法が可能だということです。こうすれば売れるという仮説が、経験則や高感度調査などによってたてられ、次に、100~1000人程度のスモールサンプルで、実際に買うかどうかを実験し、だいたいこのくらいの比率で買う人が現れるだろう、このくらいで売れるだろう、というのを測るわけです。 新しい商品を打ち出していくときに、一つの県だけで先行販売してみて、改良点を見つけたり、全体の売り上げを予想したりすることがありますが、これも一つの心理実験とも言えるでしょう。 新しい商品を打ち出していくときに、一つの県だけで先行販売してみて、改良点を見つけたり、全体の売り上げを予想したりすることがありますが、これも一つの心理実験とも言えるでしょう。
そう考えると、マーケティングの人たちがやっていることはある種の心理学の実験ではあるものの、必ずしも心理学の理論に基づいた実験である必要はありませんから、ことさら、心理学者が求められることもないかもしれません。 それでも、やはり心理学をマーケティングの世界で使ってみた方がいいんじゃないかと私が思う理由は、心理学者には、人の心理に関して、前の章でも述べたように、ある仮設でダメだったら次の仮設、それもまたダメだったら次の仮説と、次々に仮説を用意するだけの知識がふつうの人よりは豊富にあるからです。また、実験の組み立て方や結果に対する分析などといった学問的なサポートもできます。 さらに、アドバイサー的なコンサルタントとして心理学者を活用する方法も考えられるでしょう。成功している経営者であっても、自分が経験則でとってきたマーケティング戦略が学問的にも正しいと言われることは、次回への再現性を図るためにもうれしいことですし、また、失敗を冷静に分析してくれる人も必要でしょう。 すでにいるプロの経営コンサルタントに加えてのセカンドオピニオン、オルターナティブな視点を与えてくれるアドバイザーとして心理学者を入れておくというのは、一見無駄なようでいて、その実、経営者の経営判断をより健全にしたり、ほかの可能性を考えたり、分析的な視点を持ったり、場合によっては自分の思いつきに自身を持ったりしていくうえで非常に有益だと思います。
【脳科学より心理学 21世紀の頭の良さを身につける技術】精神科医和田秀樹/Discover携書 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 5, 2024 06:17:23 AM
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