和醸良酒
「和醸良酒」という言葉がある。「和は良酒を醸す」「良酒は和を醸す」という二つの意味がある。酒造りをする多くの人が大切にする言葉 ▼先日、取材した越後杜氏の一人は、「『和』こそ酒造り、人づくりの基本」と力説していた。座右の銘として、「藏人心和壹」(蔵人の心を一つに和す)の5文字を心に刻み付けているという。杜氏とは日本酒造りの最高責任者である ▼良い酒造りの条件として、越後杜氏はさらに「現場の声を聞く」重要性を挙げた。商品の展示販売会や試飲会などにできるだけ出向き、消費者の声に耳を傾ける。「生の声は私たち造り手のところには、なかなか入ってきません。自分たちが造った酒はどう評価されているのか。生の声を知ることが大事です」 ▼専門に固執したり、立場が上になったりするほど、現場が見えづらくなることがある。しかし、知恵は現場にある。変革の鍵は最前線にある。だから一人一人の声から真摯に学ぶ。話すことの2倍聞くために耳は二つある、といわれるように ▼常勝将軍ナポレオンいわく、「将軍が現場にあることは欠くべからざることである。将軍は頭である、一軍のすべてである」(小宮正弘訳)。リーダーが最前線に立つ。そこから「勢い」と「勝利の波動」が生まれる。 【名字の言】聖教新聞2019.6.3