2005/11/19(土)07:18
第49話 雑誌のオーディション前に高熱が出た!
~ある子供タレントの1日~
「夢がかなうまで」第49話
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一つ大きな仕事を終えてまもなく小学2年生になりました。
弟もモデルデビューをし、順調に仕事が入っていました。
ある日、一人でお留守番が出来ない私は、
弟の仕事先に一緒について行きました。
お母さん役で来ていた女の人がとても体調が悪い様子でした。
体調がいくら悪くても、この仕事は、
簡単に誰かに変わってもらうことができないのがつらいところです。
オーディションを経て選ばれ、撮影場所やスタッフも決まり、
撮影当日を迎えるわけですから、
肝心のモデルが穴を開けるわけにはいかないのです。
狭いスタジオの中で、1日中撮影がありました。
弟は母親役のモデルさんに抱っこされているシーンを撮影していました。
ある大手のおもちゃメーカーのカタログ撮影でした。
その撮影が終わって2~3日たったある日のこと、
弟と私は、ほぼ同時に高熱が出始めました。
4日間くらい40度以上の熱でうなされ、食事もとれず、
やっと熱が下がった日も、瀕死の白鳥のようにふらふらでした。
私は熱が下がったばかりの4月のはじめ、
新宿にある出版社のオーディションへ行くことになりました。
少女服のパターンが紹介される本のモデルでした。
黒のタートルネックの半そでに、下は茶色ツイードのミニスカート。
厚底の編み上げタイプのブーツ。
髪は横わけにし、おろしたままにして行きました。
今思うと、少し大人っぽすぎるファッションだったかもしれません。
オーディションでは、何枚か写真を撮りました。
いつものように笑顔を作ろうかと思いましたが、
その瞬間「いいの笑わなくて、ぼーっとしてて!」
私は、モデルをしてきた中で、
笑わなくていいと言われたのは初めてでした。
しかし、運が良かったです。
笑いたくても病み上がりで笑えませんでした。
受け答えも、そっけなく、帰りの挨拶さえも出来ませんでしたので、
久しぶりにお母さんに叱られました。
しかし、私はふらふらでした。
しかし、それでも私は行きました。
しかし、それでも私はオーディションに合格しました。
色々なオーディションがあるものです。
不機嫌な顔で行ったオーディション。
感じの悪い私。
それでも受かるときは受かるもんなのですね。
オーディションは、行ってみないとわからないものですよ。
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今日の1句
オーディション 行って見なけりゃ わからない