ナースのひとり旅

この前、バッグを買いに行ったの。
病院の研修資料とかフルートの楽譜など、
A4サイズが入るバッグが欲しくて。


「A4サイズ」といったら仕事の書類っぽいから、
店員さんに「通勤用ですか？」と聞かれるのはいつものこと。


私が見てるだけじゃなくて買う気あるのがわかったのか、
ここの店員さん、ずっとついてきてやたら質問が多い。

「書類持ち帰って自宅で仕事することもあるんですか？」とか、
「普段はスカートが多いんですか？
　だったらこれ合いますよね。あ、制服あるんですか？」とか。


私の職業は会社員ではなく看護師なので、
だんだん会話がかみ合わなくなってきた。

うざったくなって、「私、看護師なんで。」と、
放っておいてオーラいっぱいで言ってみたのに、
店員さんは、「ナースさんですかー、ステキですね！」とか何とか。


私は店員さんとか美容師さんとかと
できるだけ会話したくない人間なので、
こういうの何だか疲れます。



結局迷いに迷ってバッグを購入。

レジでその店員さんは、他の店員に私のことを、
「かっこいいですよー、ナースさんですって！」なんて言っていた。
そして、
「女性らしい仕事ですね。」って。


そんなの適当に話合わせておけばいいのに、
私ったら首かしげて、「え・・・？体力勝負って感じですけど」
なんて言ってみました。




うーん、なんだか複雑な気分。


看護師に良いイメージを持っていただいて嬉しいような、
私たちの現状をわかってもらえていない悔しさを感じるような。





ADLが低い患者さんが多い私の病棟の仕事は、
本当に体力勝負！って感じです。

確かにサービス業の女性ように、患者さんに笑顔で接してはいるけど、
女性らしいって感じじゃないなぁ。


実際、うちの病棟の患者さんは、
「ここの看護師は、女子プロみたいなのが多い」と言っていた・・・。




私はワンピースタイプのユニフォームを着ることが多いんだけど、
患者さんを車椅子に移乗する時なんて、
「ちょっと失礼」とか言って、スカートややまくり上げ、
脚広げてふんばってます。

大きな患者さんのベッドからストレッチャーへの移動は、
「１，２のさーん！」って、女数人ですごい馬力を出します。

数時間ごとの体位変換だって、かなり体力使います。

一般の人から見たら汚いと思うものも、看護の大事な観察ポイント。
時には手や服にブツがついちゃいます。
そしてあまり気にならない。（のは私だけか？）



女性らしい仕事、なのか・・・？




「看護婦さん」がやさしく笑顔でのんびり検温にまわり、
時には車椅子を押して屋上を散歩、
かっこいいドクターの話題をしながらお茶タイム・・・

なんてどっかのドラマのような姿を想像しているとしたら、
それは違いますよねぇ。

そういうことも、職場によってはあるかもしれないけど・・・。



正直に言うと、看護師になってから、
「看護師は他の仕事とは違うのよ、すっごく大変なのよ」と、
ちょっと変な意識を持ってしまいました。

その変なプライドのせいで、私の仕事を理解してくれない男性とは、
例えお互いに好意があってもうまくいきません。


もちろんどんな仕事だって大変で、
ストレスいっぱいなのは知ってます。
私も会社員してて、泣いた日もあったし。




看護師が女性らしい仕事なんて、思ったことないわ。
もっと男性看護師が増えてほしい。


さて、明日も浣腸、陰部洗浄、移乗に体位変換と、
どこが「女性らしい」のかわからぬケアを、
汗かき化粧くずれた顔でがんばってきます！