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映画にまつわるエトセトラ

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カテゴリ:ブックレビュー

午前三時のルースター

 久しぶりに本を読み終わりました。自転車通勤になってから読む時間があまり無くなってしまったので、すごく久しぶりなんですが、いちおう月一冊は読もうと努力しているつもりです。

 
 「少年は大人になっていく」 ベトナムで失踪した父親を探す少年とおれ(帯より)

 数々の文学賞を総なめにした2000年の作品です。だから、ちょっぴり今と事情の異なる下りもあったりしました。例えば、表参道のライトアップについての描写があるんですけれど、木が痛むからと言って照明をまき付けることは現在ではやっていなかったりします。(昨年、タワーのようなものを設置して久しぶりにライトアップをしました。)そして、旅行会社の主人公が携帯を持っていないというところも今では考えられないのかもしれませんw

 あらすじ

 旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の信一郎のベトナム行きに付き合って欲しいという依頼を受ける。信一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。現地の娼婦(メイ)や運転手(ビエン)とともに父親を探す一行を何者かが妨害する・・・最後にたどり着いた切ない真実とは。(巻末より)


 僕はベトナムは行ったことが無いので、行ったことのある人の空気感を掴むことが容易ではなかった。匂いや暮らしの音、じめっとする暑さなど、想像するしかなかったが、それでも擬似的な旅行に行った気分には慣れた。ベトナムのホーチミンが舞台であるが、現地のものの考え方上、ずっとサイゴンと称してあるし、その街のいたるところを駆け巡ってくれるので、作者なりの説明がとっても上手なんだろうと思ったし、地図があったらそれを見ながら読んでも良かった。

 途中で、物語の根幹である少年の影が薄くなる場面がしばしばあるんだけれど、「桃太郎」ばりの助っ人キャラクターの個性が全面に押されている展開にハラハラして、追走劇には息を呑む展開。一緒になって父親を探しているもう一人の仲間に読者自身がなれる時もあれば、主人公・長瀬にもなれたりするのが自由度のある作品として良い。ただし、少年の気持ちにはあまり理解が出来なかった。

 僕が気になったキャラクターは、やっぱり源内。この人のざっくばらんな感じとものに対する執着心。うっかり八兵衛のようでもあり、頼りがいのある戦士だったりするのが面白いキャラクター。どの登場人物のなkでも一番想像しやすいのも僕にとってはプラスの要素。本当に良い奴ですw

 「ルースター」ってなんだろうと、話を読んでいく中で一度も触れなかったので、気になっていたが、最後の最後に出てくる言葉で、ちゃんと説明してくれているので、読者自身にもひとつの謎賭けを与えているような感じがして面白い作家だなと思った。つまりは、この言葉と話の内容必ずしも合致しているとはいえないんだけれど、締めくくりはさわやかや感じのする気持ちいい作品だってことは間違いない。

 





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Last updated  2007.05.22 05:31:35
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