テーマ:読書(8213)
カテゴリ:感想
この男はなぜか悲しそう。いや、ここに来る人はみんな……。 上は、劇中に登場する教団信者モブの女性のモノローグですけど、出てくるキャラがまぁ軒並み、脛に傷を抱えてる人達ばかりで、中々、楽しめました。600ページに渡るボリュームも圧巻。 ……なんだけど、出てくる女が皆、メンヘラというか、男に依存気味で、その辺、引っかかった。一番、まとも寄りなおばあちゃんですら良妻賢母って感じで、どこまでも"添え物"感が拭えず。話を引っ張るのは皆、男で、女はそれに振り回されるか、ひっかき回すばかりで「そーいうもんかなぁ……」と読んでて、ちょっと腑に落ちなかった。まぁ、宗教にのめり込む人間なんて、男だろうが女だろうが依存気質のメンヘラなんや、って言いたいのかもしれんけど……うーん……。 あれだ、群像劇なのに、同性とか、友達の為に本気で何かしてやろうってキャラが一人もいないのが違和感あったのかもしれん。皆、自分自身か、異性のことしか考えてなくて、そこが引っ掛かった、のかな。異性の為にしか頑張れない人って、なんか信用できんのよな、私 あと、怪しい噂の流れている宗教団体に接触した主人公が、当然のように教団内でセックス三昧になる展開は90年代のサスペンス系エロゲを思い出さずにはいられませんでした。『雫』とか『MOON.』とか。ふふふ……セッ「やめないか!(パンッ」
なんですかね、「怪しげなカルトとの接触」と「閉鎖空間での異常な性体験」の間には、なんらかの因果関係が生じるものなんですかね……?(== 基本的にインテリとメンヘラしかいない作品なので、読んでて気持ちの良い内容ではないです。途中で、ページ一杯に羅列された記述の暴力も「お、おう」としか言いようが無かった。この辺、書いてる方も意図的にやってると思う。 なんかこう、一人ぐらい「洗脳?くだらねー。大義?くだらねー。心の闇?国家?神様?あー、全部くだらねえ、くだらねえよ。みんな、自分が納得したいだけだろうが。ぐだぐだ、ぐだぐだ、ご高説、のたまいやがって。要はおめー、世界が自分の思い通りにならないのが気にくわねーだけだろうが。そんな世界で生きてくのがしんどいだけだろうが。オーケイオーケイ分かった分かった。苦しいんだな、楽になりたいんだな。了解、死ね」って吐き捨てて、サクッとぶっ殺してくれる奴が居てくれた方が、こっちも笑いながら読めたかもしれない。出てくるキャラが軒並み、生きるの辛そうなんだもん。なにしろ、一番幸せそうなのが、教祖様~抱いて~って頭ピンクになってるモブの娘達だし(苦笑) でも、嫌いな作品では無いかな。なんだかんだ、先が気になるお話でしたし。 二つの宗教団体を並列させることで、それぞれの特徴を浮き彫りにしたり、海外の宗教テロや戦時下のエピソードも絡ませたりすることで、「人は、どうして、宗教を求めるのか?何故、何かに縋るのか?」という普遍的な問い掛けを、現代日本を舞台にして描く……というのは中々に面白い試みだったと思います。 後、多分ないと思うけど、もし、この作品を映像化するなら、実写とか漫画ではなく、Z指定のADVが合うかも。膨大なテキストとか、妙に多い濡れ場の数々も考えると。ないと思うけど。 ※6月14日追記 他人の苦悩は蜜の味 そんな訳で、ここ1週間、気が向いては読み直してたり。気が付いたら、付箋がひう、ふう、みい……数えきれんぐらいになってた(苦笑) なんだかんだ、読ませるパワーのある作品だと思う。流石、ベストセラーになっただけあるね。やっぱ、内面描写が良いのかな。心の闇が実に芳醇でねえ。ユベルじゃないけど、心がささくれだった時に手元に置いておいて時々、読み返したくなるかも。 ただ、光の部分がなんかこう、そんなんなる?って感じはちょっと否めず。やっぱ、心の闇を扱った作品って難しいね、どうオチをつけるかって。これはこれでありなんだろうけど。 一番、好きな男キャラは教祖様で、女だと小牧さんやな。好きでもない男に騎乗位しながら、パフパフまでして「出ちゃうの?……こうすると出ちゃう?」ってエロイ台詞、言える女、かっけーよ。やれって言われても、私には無理だわ。好き嫌い、激し過ぎて。 ……というか、小牧さんとやってるところを意中の女に観られた途端、なんか急に我に返って「どいてくれ」とか言い出す主人公(か、こいつ?)の身勝手さに呆れた。さっきまで快楽に溺れて何が悪い、もっとしてたい、とか内心でのたまって、人様の中に三発も(三発も!)ぶっはなしたくせに、急に邪険に扱って、いや、おれは、本当は立花一筋だから、誘われたから付き合ってやってただけだから、おめーみてなアバズレ遊びだから、アウトオブ眼中だから、みたいな態度を平然と取れる身勝手さに渇いた笑いしか浮かばなかった。ははは。ぶち殺すぞ、ヒューマン。 最後まで読み直してみたけど、結局、小牧さん、特に終盤触れられることもなく、いつの間にかフェードアウトしてたのが残念。一応、この人も、松尾組の一人だったのにさ。まぁ、スパイだったんだけど。 なんか、この作品、そういうキャラの使い捨て多いよね。。。冒頭の探偵くんとかも(== お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年06月16日 09時52分00秒
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