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K氏のひとりごと

K氏のひとりごと

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2018.10.08
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カテゴリ:カテゴリ未分類


・・とある街のとある喫茶店「フニクリフニクラ」。
ここには都市伝説がある。

それは店内のある席に座ると、望んだとおりの
過去に戻ることができるというもの。
ただし、そこにはめんどくさい
いくつかのルールがあった。

そのひとつが
過去に戻って、どんな事をしても、現実は変わらない。
はあ? それじゃ意味ないじゃんね!

過去に帰る意味なんてない。
誰もがそう思うだろう。

にもかかわらず、過去に帰りたがる人たちがいた。
一目だけでも、もう一度愛しい人に会いたいと。

・・過去に戻ることで、その人たちは思いもかけず
愛する人の真実の想いに気づくことになる。


過去も現実も何も変わらないのだけれど
間違いなく、暖かいものが心に灯っていた。

その思いがきっとこれからの未来を変えていくに
ちがいない。 そんなふうに思えるのだった。

・・人を過去へいざなうウェイトレス役を
有村架純ちゃんが演じます。
彼女以外にこの役はあり得ません。もう絶対です!ぽっ

「コーヒーが冷めないうちに」ぜひ原作本も
読んでください。映画との差異に気づけることでしょう。



過去に戻りたい理由。それはもう人それぞれ。
ほとんどが、あーすれば良かった。こー言えば良かった。
そんな後悔。


この話は原作の読者から応募のあった実話です。
とある中年夫婦のお話です。



夫は病にかかり
私と出かけることもあまりなくなった。

ここのところは小康状態で
寝たり起きたりの生活をしていた。

そんなある日、私は20年も前の
クラス会の招待状が届き
どうしようか迷っていると
夫は機嫌よく
「たまには、楽しんで来なよ」
そう笑顔で言うのだった。

病気の夫を家に残すことには
躊躇われたが、あまりに夫が勧めるので
私もその気になって行くことにした。



・・クラス会は久しぶりということもあって
旧い友人たちと盛り上がっていた。

とそのときに

携帯電話が鳴った。

それは夫が急遽病院に搬送されたという
母からの電話だった。

私はとにかく会場を出ると
タクシーをひろい病院へ急いだ。


しかし、夫はもう亡くなっていた。

愕然とし、私は頭が真っ白になるのを感じた。



・・そいう言えば、昨日めずらしく
夫が私を病床に呼び寄せ、話をしてくれた。

私にむかって
「君と出会えて 良かった」
「素晴らしい人生だった」
「ありがとう」

微笑んで
私の頭を撫ぜて
ただ何度も
「ありがとう」
そう言うのだった。

私は
「やめてよ なんか恥ずかしい」
照れてそう言った。
夫は
「これでもう一生分ありがとうって
言えたかなあ」
そう言ってにっこり笑った。


今思えば 夫は亡くなるときを
自分で知っていたのかもしれない。

人は本当に悲しいと泣けないとも知った。
でも今は逆に涙をとめる方法が分からない。



もし過去に戻れるなら

昨日の夜に。

そして伝えたい。言えなかったあの言葉を。


「ありがとう」


「こんど生まれ変わっても」


「・・またあなたに 出会いたい」


「もっと」

「早くあなたに 出会いたい」








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最終更新日  2018.10.29 07:26:54



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