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カテゴリ:歩く図書館と本の虫
昨日に引き続き、今日もマンガネタ。しかも古い^^;
横山光輝の『マーズ』です。私が所有しているのは、秋田書店から文庫本サイズで3冊出ているものです。 横山光輝といえば、我々の世代では『三国志』『水滸伝』といった中国歴史物マンガの印象が強いですが、『鉄人28号』『バビル2世』『ジャイアントロボ』のようなSF系の作品に代表作が揃っている作家ですね。 この『マーズ』は『バビル2世』の超能力バトルに、ロボット物の要素を加えた作品で、知名度的には前述の作品には及ばないようですが、物語の面白さと完成度では群を抜いているかもしれません。 物語は、海底火山の噴火により出現した隆起島、秋の島新島に突然姿を現した少年を、新聞記者が発見することから始まります。この少年の正体を巡る謎が物語の冒頭を飾るのですが、これがミステリアスで物語に読者を引き込みます。 そしてこの少年の正体が、宇宙人によって送り込まれ、地球人が危険なレベルにまで進化していた場合には、地球を爆破する為の存在であることが分かってから、物語は本来の方向に進んでいきます。この少年=マーズは、地球を破壊する起爆装置の役目を担う存在ではありますが、本来目覚める年よりも100年早く、記憶を失ったまま目が覚めたため、地球人を絶滅させることにためらいを覚えます。 しかし、マーズと共に宇宙人によっておくりこまれた6人の監視者は、マーズを正常な役割を担わせようと動き出します。 マーズにはガイアーというロボットを操る能力を有しているのですが、このガイアーが地球を破壊する爆弾を内蔵しているうえ、マーズが命令を下した場合だけでなく、マーズが死亡すると自爆するようセットされている物騒極まりない存在。 6人の監視者は、マーズが異常な状態にあると判断し、マーズが地球を破壊しないのであればマーズを殺そうと攻撃をしかけてきます。ここから、マーズと6人の監視者の戦いが始まり、それが物語の骨子となっていきます。 序盤は、マーズの登場や、監視者の操る神体の登場など実に緊迫感あふれる描かれ方をしていて引き込まれるのですが、若干後半急ぎ足の印象を受けるのが少し残念ですね。それでも最後まで読者をつかんで話さない緊迫感と魅力にあふれた逸品です。 しかし、本作が未だに語り継がれているのは、こうした戦いの過程や物語の構成の妙よりも、そのあまりにも衝撃的なラストによってでしょうね。個人的には少し唐突というか、もう少し過程があったら良かったのになあ、とも思うのですが、一方でああいう構成だったからこそ、衝撃的であったのかもしれないとも思います。 いずれにしても単行本3巻でしっかり完結している傑作です。オススメ^^ なお、本作は、『六神合体ゴッドマーズ』の原作ということになっていますが、全く別物じゃないか!と言う感じです^^;『ゴッドマーズ』が引き継いでいるのはマーズの名前と、爆弾の存在とガイアーの名前くらいかな。他は共通点を探す方が難しい。 また、横山光輝作品の登場キャラクターを一堂に会して一つの物語にしたてたOVA版ジャイアントロボ(主人公側に水滸伝のキャラクターが居て、敵側の軍師が諸葛亮孔明で、さらには敵のボスがあまりに有名なあのお方というチョイスが素晴らしいです)に出ているキャラクターの元キャラも登場しています。名前は出ていませんが、衝撃のアルベルトと、激動のカワラザキの元ネタはこのマーズに出ている6人の監視者ですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/01/04 11:08:05 AM
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