掲題書を読み終えた。大学時代のゼミの恩師である
三輪芳朗教授の著書。
先生はちょっとクセの強いお人柄で、それが本の語り口にも出ちゃってる感じがしたが、学部や先生のゼミで学んだことの復習にはちょうどいい本だった。新書本で手軽に読める。
本論では「うまい儲け話はない」ことが繰り返し説かれる。「うまい儲け話」がもしあるならば、みんなが一瞬にして真似をして、あなたが気づく頃には「うまみ」など残っていませんよ・・・というのである。なるほど、と読み進めながら、「でも、ビジネススクールの授業で紹介されていたように、真似のできない戦略や経営慣行による競争優位を確立して、同業他社に比べて大きな儲けを計上している企業だってあるじゃないか? それらの企業がものにしている、真似されない『儲け話』をどう説明するのだろう?」という疑問を感じ始めたころ、終章で「『うまい儲け話』はないけれど、工夫と努力によるイノベーションで『儲ける』ことは可能です。」との説明が示され納得できた。
終章で、企業の経営者による「成功談」が非常に人気だが、どうやって真似したらいいかという段になるとみんな困るのではないか?というような記述があった。まさに先日、オライリー/フェッファー「隠れた人材価値」を読んで僕が感じた当惑をよく説明している。今実家の会社で小さいながらも経営者に近い立場にいて、「成功談」の類を読むにつけ、どうやったら自分の会社に取り入れられるかと考えると、ほとんど不可能な気がして目まいを覚えてしまう。真似できないからこそ「成功談」たりえたのだから当然だ。「成功談」はしょせん「参考」にしかならないのだという主張にも、大いに納得ができた。