湯たんぽの売れ行きが好調だ。灯油価格の高騰に加え、来年には電気料金の大幅引き上げも控え「暖房費を少しでも抑えたい」という消費者のニーズが追い風になっている。仙台市内では、小売店が「湯たんぽは省エネ」と掲示してアピールしたり、女性や家族向けに動物やアニメキャラクターのカバー付き商品を豊富に用意したりし、売り上げアップを狙う。人気ぶりを見て、新たに製造に乗り出すメーカーも出てきた。
仙台市泉区のホームセンター、ホーマック泉店。ポリエチレン製湯たんぽの10月の販売量は、前年同月比で約2倍に急伸した。
買い求める客からは「就寝時に使い、寝室の暖房温度を下げる」との声が多い。このため同店は保温シートなど暖房効率を上げる商品を集めた特設売り場に湯たんぽを並べ、省エネをPR。700―900円と手ごろな価格も支持されている。
売り場担当者は「今年は仕入れ量を大幅に増やした。灯油高が続き、消費者が省エネに敏感な今が絶好の商機だ」と意気込む。
10月16日にオープンした仙台市泉区の大型商業施設「タピオ」に入る雑貨店「デリアンドウィズ」は、開店当初から店頭に湯たんぽコーナーを設置。平日は3、4個、休日は5、6個売れており、「予想以上の売り上げ」と言う。
人気の秘密は、付属のカバー。羊やリンゴなどの動植物、アニメの人気キャラクターなどをモチーフにしたカバー付き商品約20種類をそろえる。同店は「デザインがかわいいので、若い女性が縫いぐるみを買う感覚で求める」と話す。
人気ぶりはメーカーの対応も促す。アイリスオーヤマは「灯油高で湯たんぽが売れた昨シーズンより、さらに灯油高が進んだ今シーズンはもっと売れる」と見込み、今年から湯たんぽ製造を始めた。
販売目標は75万個。従来サイズに加え、一回り小さいサイズも作る。小さいサイズは女性が仕事場で足の裏やひざ上に置くことを想定。厚着をして室内の暖房温度を下げる「ウォームビズ」に乗じて、「夜だけじゃなく日中も使って」と新たなニーズの掘り起こしを狙う。