カテゴリ:昭和の懐かしいお話
うん、田舎のゴーゴー喫茶、私は何度行っただろうかね。 手の指を使って数えられるぐらいかな。 そう、ゴーゴー喫茶はどんどん変化していったんだ。 変化というもんではなかったずら。 そうそう、「フィバー」という言葉がはやりだしたんだべえ。 そう、私達に、うんにゃ、もとい、私に 縁のない化粧の濃ゆい女性達が現れ始めた。 女性はやけに広い扇を持ったり水着のようなファッションになった。 照明もラスベガスのカジノのように派手になっていった。 照明というより殺人光線かのように派手に点滅した。 店内に入ると一瞬目くらましをくらった感じになる。 クラッとして倒れそうになるんだべえ。参ったという感じだな。 酒を呑んでいないのに酔った気持ちになったべえ。 ふふふ、ゴーゴー喫茶に行く時、私はいつも酔っていた。 そうだべえ、シラフで入れるようなところじゃねえもんな。 ハイハイ、シラフで入れる勇気は持っていなかった。ああ。 雰囲気だけでなく、かかる音楽もテンポが早くなりハードになり、 私達はついていけなくなった。 私達?ハイハイ間違でずら、私はついていけなくなったべえ。 うん、ゆっくりした曲もかかることはあった。 そうそう、曲の合間に、時折、ゆっくりとしたブルースがかかった。 通の間では「チークタイム」と呼ばれていた。 そう、この音楽がかかると、瞬間、照明も落ち着いた。 サックスのせつなくも甘いメロディーが流れてくる。 中央に男性が女性の手をリードするかのように集まる。 男性と女性とピッタリと身体を寄せ合って踊り始める。 女性の仲間がいない私達は壁際に戻るしかなかった。 それにみんなの前で身体を寄せる。 羨ましかったけれど恥ずかしくもあった。 軟弱な野郎の真似はしたくないよな。 私達は嘯いてゴーゴー喫茶を後にしたものだ。 そんな私だからゴーゴー喫茶に行くことは少なくなった。 酒、読書、山登り、ジャズ、フォーク……などなど そうだね、硬派でもない、軟弱でもない 今でいう暗くもあり孤独な日々、そんな学生生活を送っていた。 そして、時々、ベトナム戦争反対のデモなどに出ていたんだべえ。 暗い、孤独、でもね、今ではそれらの日々がとてつもなく懐かしい。 懐かしい、自分の人生の中でも貴重なひとときだったと思える。 そんな私が一度だけ女性とぴったりと身体を合わせたことがある。 ふふふ、チークダンスを踊ったことがあるんだべえ。(つづく) 人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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